おつかいと
ちょっとサポーターのやつとかぶります。
「……訓練のために行くのか」
「はい」
「うーん、最近勉強をさぼりがちだと聞いたのだが。しっかりやってるのか?」
「……」
「その様子だとやってないそうだな。おれは約束したぞ、勤勉を疎かにするなと。もし、それでも訓練ということで山に行くのならば」
「……」
「スカーレットは追い出すがいいのか?確かに、訓練は大事だが両立できないと意味がない」
「……わかりました。今日は勉強保しっかりやります」
やはり思ってた通りだ。
お父様は甘いところが多いが、子供のことになると厳しくなる。
過去に何かあったのかもしれないが、俺にはわからない。
「あっ、レン待て。渡すものがある」
おれに?
「おれからのプレゼントだ。魔剣士は契約精霊が剣になってくれるおかげで剣はいらないが、その精霊のケアをしっかりやってあげないと精霊は成長しない。そのケアするものを入れたり、日常の必需品を入れたりするための籠手型の空間収納だ。魔力で中の広さは拡大する。成長しないと剣でいられる時間が短いままになったり、体の面でも成長しないからな」
途中までいいこと言ってたのに最後の一言のせいで台無しだよ。
でもなんでここまで魔剣士のことを知ってるんだ?
「お父様、なぜそこまで魔剣士のことについて知ってるんですか?」
「あーそれはな、久しぶりに魔剣士という職を見れて少し嬉しいんだ。あまりいないもんで出会ったら幸運だと言われるほどで、何かおれがお前にできないかって思って本で調べてたんだ。後は可愛い子だから将来の立派な姿を見たいってとこかな」
やっぱり最後の最後でもったいないことを言う。
「ありがとうございます。午前勉強して、午後はケアするためのものを買いに行こうと思います」
「ああ、武器もしまえるから、予備として何かいい剣を探してそれを予備として入れておいてもいいかもな。まぁ、頑張れよ」
「はい!」
山に行くことはできなくなったが、代わりにいいものを受け取ったので今日は頑張ろう。
と言ってもおれはもともと勉強が嫌じゃないから、スカーレットを説得するか。
__________
「……と言うことなんだ。だから今日は諦めて勉強してくれ」
「にゃー。いいけどボクはレンに教えてもらわないといまいちわからないんだよにゃー」
そう、実はスカーレットは教えてくれている家庭教師から覚えることが少し苦手なのだ。
おれが教えるとすぐに覚えるのだが、家庭教師から教わると覚えにくいのだ。
本人は教え方が悪いせいでいまいちわからないと言っているから大体授業の後はおれが教えてるのだ。
「それでいいか?」
「いいの!?それでいいなら諦めるよ!」
少し時間はかかるが、これからそう行くことにした。
__________
「…でここはこうでこうなるからここはこれになる。また、このときはこのような出来事が起こった」
「ふむふむ、やっぱりレンに教えてもらったほうがわかりやすいにゃ。すぐに覚えちゃった」
物覚えがいいおかげであまり時間がかからないですみそうだ。
「この後ケアするための道具とか買いに行くからついてきてくれないか?」
「もちろん!そしてその後に山に行こうよ!きっと勉強したから許可でるよ」
そうだな。
必要なもの揃えたら山にスカーレットがずっと行きたがってたから行くか。
「そういえば山に行って何するんだ?」
「実戦練習だよ。山に行けばまあまあ強い魔物がいるから練習になるでしょ。そしてその後でケアをして欲しいにゃあ」
本当に訓練と、甘えたいだけだった。
「わかった、わかったが今はしっかり覚えるぞ」
「ラニャー!」
なんだその掛け声
そしてしばらくして終わったためおれはお父様のところに行き、山に行く許可と道具を揃えるためのお金をもらった。
もちろん許可は下りた。
この国ではお金は
小銅貨=10ジェム(魔物を倒した後に出てくる魔石をギルドなどで買いとおてもらった後にもらえるもの。ジェムで支払えるところもあるが、大体は硬貨で払う)
銅貨=10小銅貨=100ジェム
大銅貨=10銅貨=1000ジェム
小銀貨=10大銅貨=1万ジェム
銀貨=10小銀貨=10万ジェム
大銀貨=10銀貨=100万ジェム
小金貨=100大銀貨=約1億(ジェムで交換する場合、手数料が必要なので約)
金貨=100小金貨(ジェムでは原則交換不能)
大金貨=100金貨(ジェムでは交換不能)
陛下刻印あり金貨=100万大金貨(ジェムでは交換不能)
と決まっている。
大金貨と陛下刻印ありの金貨なんて今までで一回も見たことがない。
高くても金貨だ。
それで今回もらったのは銀貨4枚だ。
それより大きいのがあるため感覚が狂うが、銀貨一枚で贅沢しなければ一人分の1ヶ月の生活費がまかなえる。
それを4枚もくれた。
今王都の屋敷にいるため、周りは貴族の家が多い。
そして王都周辺の店はまあまあ値段が張る。
そのためこのくらい持っていかないと道具が揃わない。
特に防具屋が高い。
治安は悪くないほうだが、悪い奴らは少しいる。
例えば今日の朝で言うとナンパしてくる奴らとか。
こいつらはまだマシだが、暴力振るってくる奴らがいる。
しかし騎士団は最近、そんな細かいことに注意してたらキリがないと言って取り締まりをゆるくしてしまった。
そのため、年々増えてっているのだ。
銀貨4枚は結構高価なので襲ってくる可能性があるため、マジックポーチお使い方アをレクチャーしてもらって、お試しということで使うことになった。
最初は銀貨4枚もいただけませんとお父様に行ったのだが、もしそんなに気にするなら、今日山に行ってその分狩ってくるといいと言ってきたので狩ってくることにした。
「こんなにもらえるなんて思ってもなかった。マジックポーチを慣れるための練習も兼ねて行こう」
「にゃー!やっといけるにゃ!店での道具はボクが選ぶけどいいよね?」
「ああ、スカーレットの意見に任せるよ」
「了解!でもその籠手結構かっこいいね。その魔剣士みたいな黒とボクの炎のような真紅で」
「おれもとても気に入ったよ。あとでお父様に礼をしないとな」
そういい、俺たちはまず店に寄ることにした。
途中、このスイーツ食べてみたい!とスカーレットがいて食べたりして結構予定より遅れたが、そんなの関係ない。
おれはスカーレットは普通の女の子として接してあげたいから全く構わない。
店で買った道具はスカーレットの尻尾や髪の毛を整えるための櫛と、乾燥を防ぐためのハンドクリーム、その他はスカーレットにお金を渡して買ってきてもらった。
理由はスカーレットがちょっといえない買い物をしたいと言ってきたからだ。
袋を両手に走ってきたスカーレットに買ったものは聞かないでおいた。
無言で籠手に魔力を通し、マジックポーチを起動させて袋を入れた。
___武器屋にて___
「……いらっしゃい。」
俺たちは少し街から離れた鍛冶屋にきた。
そして迎えてくれたのはこの店の店長と思われるドワーフ一人だ。
『なんか暗いおじさんだね』
『そう言うことは言わないの。』
うーん。
すべて輝いていて立派だ。
耐久性もありそうで、切れ味もあるだろう。
しかし、おれはくる前に武器のことについて調べてきたのだ。
それで武器はバイオレット・ミスリルで作られたものが一番いいと書いてあったのが知っている。
しかしこの店はすべて普通より少しいいミスリルでできているのだ。
王都周辺の鍛冶屋はすべてバイオレット・ミスリルを使っているはずだが
「この店にはないな」
そう呟いた瞬間入り口の戸が勢いよくあいた。
「おっちゃん、邪魔するぜ。ちょっと今武器がなくてよ、おれにあう武器はないか?」
「……もともと何を使っていたんだ?」
「そうだな、長剣を使ってたぞ」
「ふむ、それならこのミスリルソードはどうだ?切れ味も抜群で耐久性も高いぞ」
「買った!ありがとな。で、いくらだ」
「小銀貨4枚だ。結構安いだろ」
「安いな、ありがと。友達にも紹介しとくぜ」
そういい、男はでてった。
そして今度は俺たちを見てきた。
「……アンタらはいつになったら決めるんだ?」
ここで聞いてみるか。
「ちょっといいか?」
「なんだ?」
「生意気なガキで申し訳ないんだが、この店にはもっといいものを作れたんじゃないか?」
「と言うと?」
「前本で見たのだが、バイオレット・ミスリルというもので普通武器を作るそうだが」
「儂の店では作ってないだけだが」
「そんなはずはない。あなたの手を見るとミスリルだけを使ってるように見えないが」
「……」
「しかも、ミスリルを加工するのを極めていたとしてもここまで輝かせることは相当難しいことだと思う。ミスリルより加工が難しいバイオレット・ミスリルしかあり得ないと、おれは思った」
「こんな小さいやつに見破られるほどはっきりしていたのか」
「と、いうと?」
「ああ、儂はバイオレット・ミスリルを使って武器を作っておる」
「でも全く見当たらないけど?」
「それは、ここには置いてないだけだ。儂はこれを見破ったものしか売らないようにしておる。儂は昔まで表に置いておったが、やがてバイオレット・ミスリルという普通のミスリルとの違いを知ってる奴が減っていった。そこで儂はこんなに知らない奴らに儂の力作は売る必要はないと思い、簡単に作れるミスリルの武器を表に出していったのだ。しかし驚いた。ここ10年は見破った奴はいないのにこんな久しぶりに見破られたと思ったらちっこいやつに見破られた。どれ、儂が君に合うものを選んでやろう」
「ありがたい。ちょうど迷っていたんだ」
「その前に、貸し切りにしないとな。儂は他の人にはバレないように見破った奴が買うときは店を貸し切ってるのだ。」
なるほど。
見られて力作をポンポンと買われるのが嫌だからか。
「じゃあ、この部屋に入りな。あ、そこの猫人族の嬢ちゃんも来ていいよ」
「ありがとうございます」
「…二人にお願いなんだが、できればこれは内緒にして欲しい。理由は、わかるな?」
「ああ、わかってるよ」
「ボクもわかってるよ」
「変わった一人称を使うんだな。で、君はどんな剣がいいんだ?」
「長剣はあるから、短剣が欲しいな。いざというときに使いやすいように。あとできれば魔力が通りやすくて、何属性の魔力をとうしても折れないような剣が欲しい」
「ずいぶん注文が多いな……。でも、しっかりあるぞ。少し値段が張るが、このバイオレット・ミスリルと武器にするには一番良い、希少鉱石のブラックサファイアを高温にして溶かし、合わせて作ることにより今までにないほどの完璧な剣、イレガルダガーだ。名前は儂が勝手につけた」
「……値段は」
「小金貨1枚と銀貨1枚だ」
「これから少し倒してくるから待っててくれないか?」
「…金がないんじゃな?わかった。待っててやろう。」
そう言って俺たちは店を後にした。
__________
「炎よ、すべてを消す刃となれ!ファイアーブレード!」
やっとこれで大銀貨9枚くらいだな。
「ちょっと疲れたわ。休憩していい?」
「ああ、少し疲れるなこれは」
俺らは少し休憩することにした。
火が傾き始めていて、もしかしたら小金貨文を獲得できずに夜になってしまうかもしれない。
「少し無茶しないといけないかもな」
俺が独り言を呟いていると、周りが少し騒がしくなった。
「何かあったのか?スカーレット、動けるか?」
「うん動けるよ。でも結構厄介そうだよ。大丈夫?」
「なんとかなるさ。行くぞ」
そう言って俺たちは騒がしい方に行くことにした。
「あれは…!」
そこにはブラッドウルフの群れに襲われている一つの馬車が、
「助けるぞ、スカーレット」
俺はとにかく馬車を助けることにした。
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