ーFidum femina nomen bonum sto fatorumー
時は幾月も過ぎ、流れ、女達はとうとう立ち上がった。
「準備、良い?」ニヤリと不敵にほくそ笑む有夏を中心に、集まった三人がーー彼女に加担した者が、同じく不敵に笑んだ。
「合点、こんな世の中変えちゃいましょうw」
三人の一人が強気に言い放つ。
他の二人はこくりと頷いて、視線を合わせた。
「えっと…皆さんは此処に居て下さいね、絶対ですよ!!」
ふんすっと有夏は鼻を鳴らして強く言い、一部の仲間に留まる様指示をした。
彼女の魅力と威光に惹かれて賛同した者達は、彼女の言葉に、理念に、何の異議も思わず大人しく従った。
ーー其の日の夜。有夏は夜の空の下に出た。
父親に我儘を言って得た別荘を本拠地にした彼女は、別荘地の外から見る遠い星の光景と夜天の輝きに薄っすらと溜息を吐いた。
夏の日の外とはいえ夜は彼女の身体に障りかねないが、そんな事もう気にしなくても良くなった。
だって自分は一番幸せだし、難病にすら打ち勝った。此の幸運は永遠にしたいし、もっと貪欲に幸せになりたい。
私は選ばれた。
選ばれて得たの、神様に愛されている寵児ですもの。
有夏は夜空の美しさを仲間の一人であり妹分でもあるーー敢えて名義で呼ぶが、でいんちゃん。彼女が創った可憐で美しい■■■■ちゃんみたいだ、と創作の少女に擬えた。
そして有夏は願う。
まるで神に選ばれし白百合の聖女が膝を付き神に祈る様に。
「私のこの幸せがずっと永遠で、もっと幸せになります様に」
既に得ている最大の幸福の、更に上を求めた。
最早、彼女にとって自分と自分が好きなもの以外は許されなくなってきていたーー




