ーYuuka・T scriptor iniustitiamー
「…これおかしいのでは」
いとこが指摘をする。
「何が?」
「この汐屋という方の、ああいえ確か有夏さんでしたよね?この方の活動時間」
気紛れで画面を見ていたいとこが指摘する。
「8時間前だけど」
「いや8時間前ですよ、でもその前見た限りでは此の所………ほら、アイテムだったかカードとやらの所持数です」
「?」
いとこが覚えていた限りの内容と今の内容を照らし合わせて話す。
「だって、今の時点で最後のログインが8時間前でしたら彼女のゲーム情報は160のままな筈でしょう。なのに最後のログインから8時間経ってるのに、持っている個数が161じゃないですか」
いとこは指を指して画面の情報の変化を指摘し、そして其れを見た沙和はほんとだ、と小さく漏らした。
「あと隣のやつは196から197に、その他は変化無いですけれど。…ログインしていないとしても如何いう方法になるんですかね?不正ログイン?」
「あー…そう言えば不正ツールとかって話聞いた事はかなり前にあったけど……」
沙和は其の手の事については疎い。だからか何とも言えない表情を浮かべた。
「え…っと……つまりは嵩街有夏とやらもチーターだったりハッカーだって事?」
「いや…そう言いたい訳じゃないんですけども」
いとこは少し考え込んだ。
「でも不正なら通報して取り締まってもらわなきゃいけないやつなんじゃないの…??」
「そうかは分からないのです。だって、そもそも私は其のゲームのプレイヤーじゃないでしょう。だから仕様とか分からないです。もしかすると、って」
「じゃあ不正操作で何かこう…遠隔的に操作してインしてなくてもアイテム受け取るとかしてるってやつじゃないって事?」
「うーん」
いとこは更に考え込む。
「このゲーム…確かにインしてなくてもイベントとか走れる不正ツールがあったりとかは聞いた事あったけど違反摘発されるのってRMT多いんだよね」
「RMT、ですか。…でも、相手も流石にそういうのはしないのでは?」
「だよね…」
「一つ言える??のは、この人何時間もやってて、それでSNSいて、いつお風呂入ったり寝てたりしていて、あと仕事してないんじゃないかなって」
「此の御時世仕事どころじゃない場合もありますが、そういう環境はそうなる前からだったのなら随分と無職でも金銭に困らないって事ですよね」
「そうじゃない?いわゆる上級国民?とか高等遊民とかいうやつなんだろうと思う。何でも金銭で揉み消したりお友達も買収出来そうだもんこの人」
「…まあ、金持ち相手に酷い目にしか遭ってないですし分からなくはないですよ、沙和」
汐屋ーー嵩街有夏の怪しげな行動についていとこ同士で考えていたら既に深夜も迫り掛けていたのだった。




