ーridere♪ー
『姉ちゃん今日はよくやってるね』
『うん。年明けの育成だし力入れなきゃね!!』
ぐっ、と気を入れて励む有夏の振る舞いには、少し暗い理由があった。
(そう。困らせたいの)
(不愉快にさせたいのよ)
(嫌がらせしてあげる)
(だって私は被害者なんだから、恨まれる謂れは無いわ!!)
有夏は影で薄っすらと暗い微笑みを浮かべた。
『死んだのは私のせいじゃない』
『勝手に死んだあっちの方が悪いんだ』
『死んだのはあっちの方なのに、どうしてあのクズの身内が引き継ぐの?あのクズの身内が私を恨むの?』
『クズが悪いんじゃない、私じゃない。ででんちゃんでもない』
『クズの身内が私を暴いて追うのなら、私だってクズにしてやった事をそいつにもしてやるんだ』
そして有夏はSNSで被害者を貫き通し、私は可哀想なんですぅ;;と仲間達からの憐れみを誘った。
(その為にも嫌がらせ出来る方法を沢山作っておくわ。私はあんなクズ達より賢いんだから!)
ゲーム内で叶う限りの方法を、仕返しや復讐という形にして彼女は彼等への報復を考えた。
『私を脅かす奴はみんな蹴落としてやるっ!!』
有夏は報復に燃えた。そして其れを考え尽くす己自身に、酷く酔った。
20:10現在、有夏はとあるゲームの中で活動していた。此の儘居続ければ2時間近くになるだろう。
1月4日、それは多くの人間が仕事のある日常に戻る日。例え流行り病の情勢であろうとあまり例外では無く、労働する必要の無い有夏は「クズの身内だという人間も、長かろうが短かろうが仕事でゲーム内に居ない筈」と睨んだ。
そしてその間に、追い越せる限り追い越して、あらゆる面からマウントを取って、そして徹底的に報復してクズ同様死に追いやってやろう…と、彼女は考えているのである。
ーSide:Yu■a Takam■■■ー
『…………♪』
そして彼女と結託し呼ぶ様に、ある種の規則的なメロディが末尾21の電話から鳴り響いた。




