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Dea Creaturae ーAc revelareー  作者: つつみ
Ultor_1
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ーEt cucurrit quare etiam in ultionem excanduitー

ーー其の沙和の憎悪を加速させている有夏と張だが、沙和が"彼"の死を明かさなくてはならなくなり明確な迄の敵対が見え始めた頃。

…勿論、其れすら鼻で笑い見下していた有夏と張だった。


だが…

























「どうすれば良いのかな…姉ちゃん……」

張は珍しくSNSのダイレクトメールでは無く電話で「姉ちゃん」と呼び慕っている有夏とやり取りをしていた。

明確な敵意について有夏は自分語りも隙あらばな性格の上お嬢様なだけあって日常でも何かしらあったりするらしく、すっかり慣れているらしい。


だが張については…日本生まれ日本育ちだが、中■人であるというだけコソコソとまともに紛れて生きていた。…まあ『推しのイベントが1位になったら深夜の街中を大声で叫びながら走り回ります!』なんて本気で言っていたが。



直ぐ近くの相手なら、直接復讐するのに…と張が小さく漏らした時、有夏は閃きに満ち溢れた声音で叫んだ。

















「だったら復讐しちゃえば良いよ!!」

有夏は思い立った様に張に話す。

「でも、どうやって?身内って言っても詳しい事は分からないんだよ?」

「ふっふーん…」有夏は自信に満ちていた。




「簡単!!でんちゃんが「幸せになる」だけだよ!!」

「…へ?」

「でんちゃんはソフィアちゃん可愛い♡でソフィアちゃんが大好きなんでしょ?鍵なんか掛けないでこれまで通りにソフィアちゃんいっぱい書けば良いんだよ!!あ、勿論でんちゃんの好きな■■くんとかも描いてるのラフで良いから進捗上げるとかさw」

要は…………

鍵を掛けない事で外部からでもすぐ見付けられやすくなる様に。

死んだ奴の苦しみの原因にソフィアちゃんが関わっているのだから、なら好きなものを沢山描き出せば良い、という事だった。


また張も関係してるのなら、充実していて幸せな光景を見せ付ければ更に効果アップ!!だそうだ。自分はもっと幸せに、大切な人を喪った向こうはより不幸に、そして同時に自己承認欲求と顕示欲も満たせる。なんて最適解で最高の復讐手段なんだろう。




「つまり幸せになる復讐!!でんちゃんや私達は幸せになるけど、同時にあいつの関係者に対してとっても大きなダメージを与えられるの!!」

有夏は興奮気味に話し続けた。

「ほら、ストレスってサイレントキラーだって言うでしょ!!?だったらでんちゃんがそうして相手にストレスいっぱい掛けて、それで確実に相手にダメージ与えるんだよ!!相手はストレスて早く死ぬはず…いや、もしかしたら絶え間なくでんちゃんがそうやってれば勝手に自殺してくれるかも!!」

「なっ…なるほど……!!」有夏の名案に目をキラキラと輝かせながら、確かに!!と張は食い付いた。









ーー一度、有夏との遣り取りが終わった後に張はスマートフォンを取り出して操作を始めた。

「んー…じゃあ……もうこれ大丈夫かな♪」


「んーと…『このアカウントリア+趣味ごったで自分でもうるさいなと思うのでほぼ壁打ちだけどアーカイブ用に絵垢作ったので見て下さる方いたら宜しくお願いします、、、 →@deden_kntn こっちはただの日常垢にしよっかな 作ったご飯のせたり雑談だったり』………っよし!!」


9月20日。午後7時11分の事だった。

































ーー其れから、張は変わらず、いやもっと隆盛を得て己の幸せな光景を見せ付け続けている。

沙和が故人の遺品を引き継ぐ形で、故人の使っていたものを使い、見たりする事を知っているから。


10月4日の20時。作品のタイトルは『天使の日』


本来、オリジナルではないソフィアという名の少女騎士、長い説明の果てに煌星の民だと言っていた彼女の、講習と課題、腱鞘炎の中の傑作。

張は更に故人と其の一族を虐め抜く為に、傑作を生み出し故人を踏み躙る。


『差分は■■■■■■■へ うちの天使をよろしくね!!』


注目を集めて欲求を満たせるタグを3つも付けた。

















「……よしっ!!身内の奴が見る事を期待して過ごそっと♪」

張は課題に戻り、浮き足立つ其の大体174程の長身を軽やかに揺らしながら何処へ行く。


…見た時に、大きなストレスがぐっと掛かり、つもり積もった其れが当人と、故人の家族を殺してくれます様に。と祈りながら。




「あ、そうだ…ちょっと呟いとこ」

そうしてスマートフォンの操作を弄り、何時もと違うアカウントの画面を開いた。

「♪」

ーー「ででん@絵垢移動した」と名前を変えて移動したアカウントは沢山の事を残した。

仕事用も兼ねた絵アカウントと分けたのだろう。



勿論、其方の方にも沢山の事が書かれている。

『死後ソフィアちの私服は白ワンピだけど影が彩雲みたいになってるんだよね 戦闘服は星空(夜)で私服は彩雲(昼)で左目は夕焼け』と大好きな我が子ソフィアの事について書いたり、己の絵を描く行為について

『そういえば私が挿絵や図を担当する生態学に関する本が近々発売されるそうで! 動物生態の生殖的隔離や種分化、生き物全般が好きな人だと多分見かけた事ある本シリーズの内の一冊なのでもしよければ買って見てね!中高生でも分かる内容でとことん面白いです!また詳細出たらここで報告します(`・ω・´)』

と。




金銭に余裕さえあるのなら、彼女が好きな者は皆買うだろう。優れているのなら、教材として何れ多くの学校に渡るだろう。

彼女は次第に認められて、そして世界に渡るだろう。

有名になり、優れた鬼才として名を残し、

軈て誰かの伴侶、母となり、絵を仕事に美味な料理、何でも出来る者として至上の幸福が彼女を満たす。


そして、何処かで、彼女の存在故に自殺した者が、見えないまま彼女に纏わりついている未来が生まれてゆく。
















































ーーその後、「あの人と同じく心が弱くてごめんなさい。もう自殺します。後を追わせて」と遺された1枚の書き置きを残して、青年が血の海の中で横たわっていた。

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