Tacere Disputatio Ⅲ ーindustria pageー
……ん?彼と二見の物語が、どうしてリンニレースの所に?
誰かが意図的に挟んだのか?
まあ良いか…
二見さんか、かなり年月が経ってしまったから、彼の名前が懐かしく思える。
あまり会った事は無かったが、気さくで愉快な人だった。僕もあの内外問わない明るさが羨ましかったよ。
ーーでも、もうすっかり過去の存在になってしまった。
二見さんが雑誌に寄せた内容を書いてからそう間も無くして、有夏達は革命へ本格的に力を入れ始めた。
……彼女達が使ったベルトニウム爆弾で、二人を除いた僕の家族も、親類も、知っていた人も、二見さんも、関係の無い人達も、皆、皆……………………
もっと僕に力があったのなら、二人だけしか助けられなかったと云う事実も、少しは違っていたのだろう。
そしてどういう経緯で知ったか、いや敢えて書かないでおこうか。二見さんの書いたものを知った彼女達は、二見さんの書いたものを全て此の世から消し去る事にしたらしい。
独裁的に、都合の悪いものは焚書する。
理性も殆ど溶けてしまったのだろうか、其の頃には。
…………ん?僕が読んでいる本?
此れかな。埃を被っていたし、もう表紙なんて擦り切れたり日に焼けてしまって、何の本か殆ど判別がつかないんだ。
え?擦れてるけれど何か書かれているって?どれ。
…………………………………………。
…FUTAMI………二見……………………?
ーーはっははは!!古くなった所為で気付かなかったが此の本は二見さんが著者だったのか!
成程…気付くのが遅くなってしまった…………此れは金に似せた顔料かな?自分の名前を金色の文字にするだなんて、明るい彼らしいものだ。
だとしたら此の頁を挟んだのは二見さんなのか?
…………まあ、もう彼も此の世には居ない。だから真相なんて、分かりやしないだろう。僕も言えないが。




