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Dea Creaturae ーAc revelareー  作者: つつみ
Rinnirace
48/108

ーEX.??? quidam anguliー

…………某日、世界は病で斜陽の最中。有夏や張、美亜やりりんが盛り上がる日々を送る一方でーー






「何か執筆が捗らんねぇわ…」

PCを前に捗らん捗らん、と面倒そうに振る舞っている色眼鏡を掛けた男が座っていた。

所々髪を染め、電子煙草、少々やさぐれた感じで、色眼鏡はーーPCの明るさが苦手なのだろう。


一応物書きなのか、執筆が〜執筆が捗らん〜等と吐かしている。


















「二見さんもしかしてまたですか」

「そうなのよ何か面白い事はなーい??」

キンキンに冷えた麦茶を入れたグラスを木盆の上に乗せて、()()と呼ばれた男が向き合っった、PCのある卓の上にそっと置いた。


「だって暑くて新しい話が浮かばないんだもーん」

「いい歳のオッサンがもーんとか使うんじゃありません…」




「あれ、そう言えばSNSアカウントお持ちじゃありませんでしたっけ、二見さん」

「だって世情が良くないから辞めちゃった〜、一昨日フィフちゃんの青鳥辞めスレに書き込んだばっかだぜ?」

「左様ですか。始めた頃に『新しい情報が早く流れてくるから執筆のネタ探しにゃもってこい!!』だなんて仰ってましたのに」

麦茶を渡してきた男と、二見という男の性格は見事な迄に真逆だった。真面目そうな男と、不真面目そうな男。

「つーかお前も()()()()()とかそういうやつは全ッ然仕入れてくれねーよなぁ」

「仕方無いじゃないですか。仕事が忙しいですから……」

「どうせ趣味の射撃練習でもしてるんでしょ〜、仕事って言ったって今のご時世仕事なんてリモートじゃん?」









…二見の言葉に、男ははぁと溜息を吐く。

「趣味…其れが出来るならやりたいですけれどもね」

男の表情に二見は何かを読み取ったのか、思わず口にする。

「…もしかして()()()さんの事か」

二見の先程の声と打って変わって冷静な様子から、男は一度ハッとし、そして俯いて口を開き出した。

「……ええ。()()()()()があってからずっと落ち込んでいましてね………()()()への怨恨が日に日に酷くなっていってる様なんです」

「そりゃそうさ、家族だろうと最愛の人を亡くしたらそうなるもんだよ」

「ただ…」

「ただ?」


























「…()が亡くなってからか…………どうも、彼女達への強い憎しみだけじゃなく『自分があの人に代わって頑張らなきゃ』と無理をし始める様になってしまいまして」

「ほほう無理を、ねえ……」

「あの人が最期に遺した文章をちゃんと守っていれば、そしたら何時か報われる時が来る、なんて事を」

「ふーん……………………」二見は男の話を聞いて、何かを考えている様だった。






「…死んだ人は、帰っては来ない」

「そりゃいとこさんが一番分かってる筈だよ、壊れちまってんだ、いとこさん」

二見の言葉に、男は寂しさと悲しさを混ぜた表情を僅かに浮かべ、また俯いた。

「しっかしまー殆ど会った事は無いけど()()()()()()()()()()()()()を死に追いやったっていう『彼女達』ってのに俄然興味が湧いたね、どんなんなのよ?()()、お前は知ってる?」

二見は男を「イチ」と呼び、「彼女達」の事を聞いてみた。

「そう聞かれましても、私も詳しい事は存じないのですが」

「ありゃま、残念。じゃあお前"アレ"は知ってるか」

「…"アレ"も、私は知らないんですけど」

電子煙草の煙をブァーッと吐いて、辺りを煙に巻く。

二見が巻いた煙に、男は少し嫌そうな表情に切り替えながら、敢えて其の傍から離れない。


「だったらSNS見に行けばいいではないですか。辞めたと言っても見えなくなった訳では無いのでしょう、お知り合いや友達は」

「あ!そうか!!俺の知り合いや友達に何人か界隈のROM専いた!!!!!!!!」

そして二見は何かを閃いた様に大きな音を立てて作業に走り始める。














































「……じゃあさイチ、お前んとこのいとこさん…連絡出来るか」

「…まさか。もしかして"アレ"を聞くつもりですか」

「違やい!!…どうせいとこさんだって『彼女達』の"アレ"なんて知らんだろ、だからアレについてはその『彼女達』ってのが今動かしてる筈のアカウントに片思いフォローしてる奴の中に多分俺の知り合いが何人か居るだろうし、そいつから聞けるだけ聞くわ。いとこさんにはーー」

二見はキーボードを素早く動かして何かを打ち始める。

「やっと編集長に怒られずに済むぜーー」色眼鏡越しの二見の目は安堵で少し潤んでいた。画面の中の題は『身近の出来事ー第三題ー』と書かれている。どうも締め切りが近かったらしい。

あと数日。間に合うかーー

「いとこさんには「知ってる限りで良いから、苦しみを吐き出すつもりで話して欲しい」って伝えといてくれるかー!!?」

溜め込む方が毒だから!!!と叫んだかと思えば、二見はガタッと立ち上がり奥の部屋と此処を行き来している。



またそう間も無くして連絡がついたのか、友達や知り合いとやらから『彼女達』の今に関する事が次から次へとーー

「ふーん……()()()()()()()()、目立てるならSNSだけじゃなくてイラスト投稿SNSだろうがゲームのサークルだろうがコミッションサイトだろうがイラストアプリのランキングだろうが何処にでも目立とうとするんだな、どうして今時の子ってこんな事所構わずするんだろうね〜つか殆どの『彼女達』って個人情報に関わる発言とかいっぱいしてるしこれじゃ何処に居るのかとかも特定出来ちまうな……ホントに増えたな、極端な例えだけど世界中に個人情報発信してやがる」

「オッサン臭い事言わないで下さい」

「あ、そうそうそうだイチ!!知ってるか!!?こういうSNSのアカウントで@の所に自分の名前やそれを連想させる言葉入れる奴って目立ちたがり屋で承認欲求強いんだってよ〜!!!!」

「はあ…………」

「このででんって奴は自分のアカウントの所にDDって入ってるから承認欲求強くて顕示欲の激しい奴なんだろうな、あとそれとこいつの誕生日見て思い出したんだけど1月1日生まれの奴ってな!…………」

「分かりましたから喋るのか作業をするのか何方かにして下さい」

「ちっ、分かったよ作業するって」もう少しで機関銃語り(マシンガントーク)に至り掛けていた所を男に制され、連絡の取れた相手と遣り取りを交わしつつ彼は本格的に作業へ移った。

行ったり来たり、片手にスマートフォン、片手に複数の本。









先程の暑さなんかもすっかり忘れ去り、二見は忙しなく彼方此方(あちこち)早歩きで動き始めたーー

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