ーIn die illa, ut idem quotidie spendingー
『きゃー♡RIOさーん♡』
やれRIOさんのアレは良いとか、何時も愛に満ちてるとか、繋がり合う仲間の事を賞賛していた。
『シヨさーんっ♡♡』
餡さーん♡ででんちゃーん♡と、次から次へ彼女は触れる。まるで飼い慣らされて従順なペットの様に繋がり合う仲間へキャンキャンと鳴いては飛び付き、ハートを飛ばしながらまた飛び付き…と、まあ何時もの彼女とはそんなものなのだが、しょっちゅう気に病む。
『はぁ■■■さん出て来ない…復刻でも良いから■■■さん来てぇ……』
其の次は■■リナ!!■■リナ!!と彼女は囃し立て、彼女を囲う仲間も同じ様な言葉を呟き、其の手の世界でよく見られる「あなたの○○素敵です〜♡」「素晴らし過ぎる」「○○尊い」…と云った言葉が並ぶ並ぶ。
お互いに褒め合い、お互いに慰め合い、お互いの傷を舐め、お互いの秘められた下腹部を慰め合う。そんな互助的な関係が生まれては繰り返される。完成された村社会みたいなものだった。
仮に『りりん』と彼女を呼ぶ。
『りりん』も、其の立派な一人だ。
彼女と仲良く慰め合うのは特にシヨ、ででん、RIO、AYUTO、餡と呼ばれる人物達。
勿論其の人物とだけ繋がっているのでは無い。"ユキ"とも繋がり、襾という人物とも、ででんの後輩である肴竜なる者とも繋がっていた。
村社会ながら、交友は矢張り広い。
まあ村の中の交友なのだから当然なのかもしれない。あろう事か彼女達、本来なら距離を置くべきである存在の公式の関係者とも繋がっていた。
…ふと、「そういう関係って枕と敷布をグショグショに濡らす案件っぽいよね」、と聞き手の声が聞こえた。中々に悪い例えだ。
いや、何か違うんじゃないか。
ーー…でも、よくよく考えて見方次第ではそういう繋がりなんて、芸能人と一般人が公衆の面前で肉体的な関係を持ってしまっているのと同じ様なものなのだろうか。
さあ、逸れた話を戻そう。
ーーさて、りりんはPCとにらめっこ。
机に向かって彼女は絵を描く。愛する■■■と自分の創作した女性を描く。
青い髪、紫色の瞳、可憐そうな容姿、強かであろう立ち振る舞い。
剣を携えている事から、彼女が描く其の女性は剣士か、或いは騎士なのだろう。
「んー…あれ、ちょっと〜、どいて〜」
にゃぁ、と鳴いた飼い猫の半流動体じみた身体をひょいっと持ち上げて、そっと優しく降ろした。にゃぁ〜と鳴く猫の鳴き声が愛らしくて、りりんは思わずぎゅっと抱き締める。
「どうしたの〜♡ごはん?お腹空いたー?」
餌入れを見遣れば、確かに餌が無くなっていた。
飼い猫が水槽のベタにちょっかいを出さない様に、彼女は早めに用意した。
「今日は夜勤だから、それ迄は絵を描きながら皆とお喋りしよっ♡」
準備は先に済ませたからだいじょーぶ!!とりりんはまた、PCとのにらめっこを再開するのだった。




