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Dea Creaturae ーAc revelareー  作者: つつみ
Anquoa
42/108

ーEx Eaー

「なんっだろうっな〜♪」

帰路に着いてから美亜は早速小包に手を伸ばして其の封を切り開こうとしていた。

「♪〜、♪、♪♪、♪、〜♪」

鼻歌を歌いながらてきぱきと中身を取り出す作業を進める。




ピピピピ…

不意にアラームが鳴り響いた。美亜ははっとして急ぎ足で台所へ向かう。


「あー危なかった、焦げちゃう所だった」

カタン、と金属の音が鳴る。彼女が手を伸ばした先には調理品が出来上がり、此れまたてきぱきと皿に盛ってゆく。

「先にご飯食べよっと」

ご飯♪と食事にありつき始めながら、彼女は小休止の如くスマホを弄り始めた。









「うおおお!!ででんさんの絵が固定に!!」

美亜が目を丸々と大きく、瞳を輝かせながら見る『20■■年自分が選ぶ今年上半期の4枚』とか云うタグだ。流行りものに颯爽と手を出す所からして、どうやらででんは目立ちたがりな所があるらしい。

案外本人も自覚していなかったりするだろうか?



ーー鍵付きの扉の中に一生閉じ籠もりも、飛び出すべき所も自らの手足で消さない限り。


まだ何処かで目立ちたがりな所が有る限り、きっと彼女は直ぐに見付かる一番星だろう。


一番輝く星の灯りなぞ、喰い潰す為に求める者は多過ぎる。









「あぁ〜ほんと綺麗だし上手いなぁ……あんなゴミカスのロマなんかとずーっと違う♡ソ■■アちゃん可愛い♡ででんさん本人も■フィアちゃんの進捗上げて「可愛いのでは」って呟く程だもん」

アナログから既に神だし…、デジタルとか凄いし…、綺麗だし…、ソフ■■ちゃん可愛いしぃぃぃ…、と美亜は賛美歌を歌うが如く彼女と其の絵も全てを讃え、まるで、ででん其の人を神の様に奉り立てる。


「支部の方にも上がってるのか〜!!「透明感の練習」ねー、流石過ぎwんー■フ■アちゃんやっぱ可愛い〜!!!!」

美亜は食事を程々に、ででんやシヨ…有夏への崇拝を済ませた後、有夏からの届け物の事について先程の続きをしようと忙しなく小包を取りに行った。

























「でっでんさん♪が絵をお仕事にっ♪」


「シっヨさん♪っから贈りっ物っ♪」


「何だろうっ♪何だろうっ♪」




♪〜♪〜と即席の少し幼稚で妙な歌を歌いながら、小包の中身を遂に取り出す。

ガサガサと紙の擦れる音と、クシャクシャとした緩衝材。

更に丁寧に梱包された()()は、まるで美亜を待ち侘びていたかの様に彼女の両手に収まっている。

「♪」

美亜は躊躇わずに包みを開いてゆく。花弁を一枚一枚剥いでゆく様に。






彼女の妙に靭やかな手付きがいとも容易く包みを開き、指先が最奥へ達した時、美亜の全身を掛け巡る電流の様な感覚が彼女を甘く痺れさせた。

(あ…あ……♡なに…これ……………なんで…?)

突然自分の全身を貫いた蕩けそうな感覚に小さな痙攣と喘ぎを漏らしてしまう。


幻の感覚でしか無い筈なのに、目の前がチカチカと光が舞う様に眩く戸惑いながらも、美亜が最奥の()()を取り出そうと指先を這わせる。

「………………っっ!♡」

指で触れた部分がじわりと熱を宿している。触れて知覚する度に其れが彼女の全身へ伝わり、暫く耽らなかったあの快楽を思い出す。

どうしてーー

どうしてシヨさんからの贈り物でこんな事になってるのだろう、と美亜は途切れかけそうになる思考で物思いに少しばかり耽った。

(とにかく…横にならなきゃ……)

美亜は沸騰し掛けた思考を懸命に巡らせ、火照る身体と足腰をがくがくと震わせながら寝台へ向かった。

もたもたと遅く、汗や他の体液が混ざったものをぼたぼたと床に落としながら、美亜は寝台へ確実に進む。

其の手に()()()()()()()()を持ちながらーー

















































「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ♡」

美亜はくらくらと眩暈を訴えそうになりつつ必死に抗い、そしてやっとの事で寝台へ辿り着いた。

ぼーっと横になって手に握っていた、少しハートに似た形をしている柔らかい()()は、美亜の体温と同じ暖かさを秘めている。

(なん…だろ……う、これ……………)

軽く、繊細そうに、其れを少し握るとぷにりと柔らかい感触が指先から伝わった。

「!!♡ひっ…う!!!!!」

どういう理屈なのか、美亜の身体と()()は繋がっているらしい。美亜がやわやわと握れば、美亜の全身に電流が走る様な快楽が襲う。

(なんで!?…なんでなんでなんでなんでなんでっ!!?)

思考回路がショートしそうになる事数回、美亜はシヨーー有夏が此の奇妙なものを送ってきた事と、有夏の意図に酷く困惑していた。


ハートの様な其の何かの、割れた部分を意図せずしてなぞるとゾクゾクと美亜の背筋を快楽が這い、下腹部の違和感に更に困惑した。

(い…や、何これ、なに…これ……)

直後、脳裏に髪の長い小柄な女性の姿が浮かぶ。150程かしか無いであろう彼女は、指先は細く佇まいに気品さがあった。まるで裕福な家庭で厳しい家訓を乗り越え育てられた令嬢の様に見えて、美亜は幻の中の存在に緊張する。




『やっと餡さんと繋がっちゃったw』

口を開かずして鈴の音の様な声が美亜の脳裏を走り抜けた。

(えっ…誰!?誰なの!?)


『私ですよwシヨですww餡さん、はじめまして!!積もり積もった話なので直接こういう形にさせて頂きましたw』



『改めまして、嵩町有夏です』

()()、と名乗った其の声の主は、きっと脳裏に浮かぶ目の前の人物だろう。

ーー此の人こそ、嵩町有夏。

「たカ…む……ゆ、ユ…う………?」美亜は汗や涙で顔をグチャグチャにさせながら脳裏の人物へ何故か手を伸ばす。






『違いますよw()()()()、です!wあと下の名前は()()です、()()ww』

覚えて下さいねー♡、と有夏がにっこり微笑んだ。

「ゆ…かサん、どうして、こんな事する…の」

美亜は震えた声を振り絞って彼女へ問う。




『其れはぁ♡餡さんを引き入れたかったからです♪私の仲間として!!』

幻の有夏は茶目っ気たっぷりに美亜を相手にし、そしてそーっと伸ばした手で美亜が握る()を、美亜の手ごと優しく取った。

「あっ♡」

『ふふふっw餡さん、私達と一緒に世界を変えませんか?私とでいんちゃんに付いて、理想の■■■■■■を現実にしません?』

…荒唐無稽だが有夏は本気らしい。

『この世界から病気を無くしましょ。そして……今やオリキャラと言ってるけれど、でいんちゃんの■■ィアちゃんを本物の、生きてる!!一人の存在として!!!!!ーー私達の理想を、体現しませんか』




有夏は語り続ける。

『でいんちゃんの■■■■■を現実にしましょうよ、現実になったソフ■■ちゃんは世界一の美少女として誰からも愛される存在になる、ね、餡さんも見たいよね?でいんちゃんの夢が叶う所を、貴女の望みが現実になる所を!!!!!』

有夏の振る舞いは大袈裟だが、何故か目は笑っていない。歪みかけてゆく崇高な思想と危険な迄の欲望が本能的な恐怖を駆り立たせる。

「ひっ…!!」

美亜は有夏の表情に異様に恐れを抱き、然し彼女の言葉に抗う事も出来ずに彼女の顔を見詰める。




『…ねえ、餡さん、貴女は……■■■■ちゃんが好きでしたよね♡ーーもしも…私達と一緒なら、でいんちゃんが■■■■ちゃんを現実にしてくれる筈。私から言ってあげます。貴女もーー()()()()()()()()()()()

にたあ…と嗤った有夏の甘い蜜の様な言葉に、とうとう美亜も理性の底に落ちてしまった。

「あ…あぁ……■■■■ちゃん、が……■■■■ちゃんが」

『だから私達と一緒になるって誓って下さぁい♡今ならお安くしときますよっw』

冗談交えて。

つつ、と手に持った()を厭らしくなぞった。









































「!?アっ♡ユかさん止めっ♡て!!そんな事しちゃ駄目っ♡ダめっ!!!嫌、だ♡嫌だっ♡おカしくナッちゃうっ!!♡♡やだっ、やだあああっ♡♡♡」

ーー美亜は其処でやっと悟る。有夏が送ってきたものが()()()()である事に。身も心も全てを支配出来る、彼女の力で作られた代物である事に。


『んふふ〜♡止めて欲しいなら私達に付いて下さいな。誓って♡誓って下さい♡』

「誓うって!!?♡あっ、ア♡」

『や・く・そ・く♡ですよ。ねえ、誓って下されば、もーっと気持ち良くなれますのに』

吐息を吹き掛けるが如く有夏は蠱惑的な魅了の力を言葉に乗せて、美亜を惑わす。貴女も運命の女なのですから、と誘い続ける。

「あッ………あぁ……!!!」

形を得た心を有夏に弄ばれて、美亜を襲う快楽は彼女の理性を破壊した。






「アッ♡なります♡なりマすッ♡♡有夏さんとででんさん♡のっっ!!!仲間にっ♡お願いしますっ私を受け入れてくださいっ♡私の願いを叶えテ下さ………っ♡有夏様ぁッ!!でデんサまぁッ♡♡♡!!!!!!!!!!」

『やった♡』

つぷり、と割れ目の部分に有夏は細く靭やかな指を突き入れた。

「!♡♡♡!!!ァっーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!♡」

一際大きな痙攣をし、ピンと足を伸ばした美亜は、まるで夢の様な淫楽の後の様にぐったりと寝台に身を沈めた。

『…これで餡さんは私達の仲間になった。もしも反目するならーーふふ、私の手には()()()が何時だって握られている。餡さんだって自分の欲の方が大事よね。後はりりんさんかぁ♡』

くすっと笑った有夏の幻が、一仕事終え横たわる女を己の力で喜ばせられたと主張したげであろう表情を見せながら、泥の様に眠ってしまった美亜を一瞥してフッと消えた。

…美亜の中の幻では無かったのだ、彼女は、遠くから美亜の目の前へ直接現れていた。


目的を達成した、と、次はりりんこと木兪を堕とす為に美亜へ行った手と同じ手を打とうとしているらしかった。

彼女も堕とし甲斐がありそうだ、と消える前にぽつりと呟いた有夏の言葉は、眠る美亜には聞こえない。

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