ーCumque pertransissent in litoreー
………某年、12月25日。
白い雪の積もった冬、海が遠くに見えている。
…大倉美亜は此の世に生を受けた。
手記を綴る様になった頃、彼女は20と余程。
其の頃には嵩町有夏や張とはSNS上で親しく付き合いのある頃だった。
さて、そんな彼女。甘いものでも好きなのか名義を「餡」にしていた。
其の他には粒餡、漉餡、子餡やら白餡なんてあっただろうか何だろうか、他には豆大福なんて名前を付けていたりもしていた。
ーーさて、また展開は変わるが202■某日にベルトニウムが世界各地に落とされたり地中で爆発して世界各地が混乱しまた新たな福音だと狂喜乱舞している中、信者達に混ざって楽しそうに振る舞う一人の女性が居た。
赤いショートヘアーを揺らしながら仄かに紫色を孕む瞳をぱっと見開きながら肩車の様に担がれている人物。
ーーアンクォア。嘗ての大倉美亜其の人だった者であり、残された手記の主であった。
「ひゃっほー!!お祭り騒ぎじゃーい!!!!!」
肝心の彼女は祭りだ祭りだ、とベルトニウムによる世界爆破を喜び場を盛り上げていた。
シーフォーン…嵩町有夏がやれウケるだのぷ■にハマっただの一言を変え、イベント前に生活が忙しく云々と云う理由を入れて副リーダーの座を期間中返上したいとリーダーらしき人に言いながらゲームに殆どを費やし始めSNSの放置アカウントを一次創作用に作り変えたりしてキャハキャハと質の悪そうな童女の振る舞いをしながらデインソビアこと張の部屋でだらけている、そんな中で。
お祭り騒ぎでドンチャン盛り上がり、あまりの楽しさに嬉々として振る舞い、楽しみ、達成感と喜びで涙をぽつりと滲ませている彼女が、此れ迄の自分という存在についてまともな解釈も考察も出来るだろうか。
「今の自分」が異常であるかさえ分からず正常だと捉える彼女には、自分が狂った理由も経緯も消え失せただろう。
あの時ーー
自分が狂わされてしまう事も、有夏の我儘によって変えられてしまった己の「普通の人生」も、そして「大倉美亜」という人物自身が、選ばれ、濯ぎ、そして「女神アンクォア」になってしまうだなんて。
当時の彼女は考えもしなかっただろうに。
一部の焼け焦げた手記は、彼女の何を残し、そして語るのだろうか。




