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Tacere Disputatio ーPuella canticum occultatumー
こそこそ こそこそ
しょうじょの あしどり
たいぼくにみをかくして
むぎの のを めざすの
かさかさ かさかさ
ほを かきわけて
しょうじょは ゆくの
ほしをさがすためよ
さくさく さくさく
乙女は踏むわ
新芽を踏み躙って
あの人の場所へ
こつこつ こつこつ
靴を鳴らして
乙女は叫ぶの
『全てが欲しい』と
ばさばさ ばさばさ
外套が揺れている
風に棚引いて
黒い衣
らんらん らんらん
瞳がぎらつく
血の様な緋 美しい蒼
欲は滅びの毒
彼女は熟れた林檎を齧る
純金で彩られた
栄光の冠
彼女は今や 女神
自分の為に 筆を折らせた
『お前の宝石の筆を私のものにしたい』
誰もが寵児になれた世界
然し彼女は一人の寵児に嫉妬した
一人に全ての罪を背負わせ
そして死の底へ突き落とす
嘗て少女も乙女となり
女神は運命の女 彼女は己を本意に人を殺す
不愉快と詰れば死を強い
無実の者も不実の者も皆殺し
殺戮を繰り返して
栄華の微笑と 白百合の聖女を愛せば
めかは何時しか禁忌の匣の災女の姿
純金の冠は 無念の血で錆びる




