ーA,nonー
嵩町有夏は。
世界に自分達の理想の■■■■■■を再現する為に無邪気に破壊に手を染める。
嫌いなものを徹底的に破壊し排除してゆく光景にきゃっきゃと子供の様に楽しみながら。
「先ずは私の嫌いな人達を殺します」
「そして嫌いな人達の家族も皆殺しにします」
「更に其の人達の出身地も破壊します」
先ず彼女が自国を手に掛ける時に破壊した場所は東北のとある大きな場所であった。
「この辺に其の親類とか居るでしょ♪」と彼女は仲間と人脈を得て開発した「ベルトニウム・エクスプロージョン」という破壊兵器を其の地に落とした。
「次に此処〜、そして次は此処っ」他の仲間達の分も合わせて徹底的に破壊し挙句には世界中のあらゆる国々を思い思いに爆破させてゆく。
破壊の限りを尽くした。
そして無自覚な悪意は反抗者達の殺戮を繰り返す。
「私達に反抗するのは許しません!」
「此れからは私達が絶対!!ちゃんと其の通りにして下さい」
「私達の事を理解して下さい。こちらの事を分かって下さい」
言い方を変えれば大人しく支配されていろ、言う事を聞け、お前達の事は理解してやらないけど私達の事は分かれ……という事である。
彼女達による蹂躙と精神の陵辱は長く続き、何時しか彼女達の中の倫理も溶け出してきた頃、気が付けば其々の姿形が大いに変質していた。
有夏の姿はまるで女神の様に美しい金髪をたなびかせた白翼の女神の様であれば、時に白百合を飾る聖女の様でもあり、然し其の殆どをーー碧眼に薄桃色の髪を持ったあどけなく無邪気な童女の姿でいる事が多かった。
周り、特に或る人物は彼女の其の時の姿を……掠れて読めぬ部分こそ有れども■■on………と読んでいた。
失念している部分は多いが、恐らくは人名だろう。…そう呼ばれていたのだから。
そして、世界は、彼女の思いの通りへと少しずつ変えられてゆく。
…物語の舞台へと。




