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五話

 本日は晴天なり。

 はい、引き篭もり自堕落ライフ大好き(っ子)な俺ですが、折角付いてる翼が勿体無いので散歩感覚で縄張り上空を飛んだりもしてます。

 魔法併用だから、実際はそれだけで飛んでるわけでもないんだけども。


 前世は人間とは言え、今生は竜だからね、その本能に引き摺られて縄張り意識ってのが強く顕在化しちゃうんだよな~。

 ま、流石に瘴気竜である俺の気配を感じ取れば、魔物の方が一目散に逃げてくから問題ないんだけどさ。

 結果として普段は魔物の餌になるしかない普通の獣やらが、安全地帯宜しく増えてたりしてたんよ。

 竜はあんまり食事しない事を、獣たちも本能的に知ってるからね、怯えはするものの。

 んでもって、食糧になるそいつらを目当てに、どこぞから流れて来る民たちがいつの頃からか巣のある山の麓に幾つか村を興してたんだよなー。


 別にそれに関して文句を言う心算もなかったんだ。住みたきゃ住めばいい、俺にちょっかいさえ出してこなければ気にしないしね。

 ところがどっこい、ある日そいつらの一部がわざわざ山登って訪ねて来たんだよ。大体二百年前くらいだったかなー?

 その時の俺は(今もだけど)暇が売るほど有ったので、なんじゃらほいっと顔を出してみたわけなんですが。


「じゃ、邪竜さま、これより毎年、若い生娘を生贄と差し出します。その代わり、我らがこの地に住まう事をお許しくださいませ。どうか、どうか……っ!」

『邪竜様、お願い致しますッッ!』


 お、おう、コイツラ何いきなり物騒な事言ってんだって内心ものごっつい引いたね、引きまくったね!

 まあ、竜の表情なんて他種族には分からんかっただろうから、気づかれてなかったみたいだがな。


 そのまま黙ってると、必死に地面に頭を擦りつけながら全身ガクブル震わせててなぁ、普通に憫れみを覚えたのは、やっぱ中身が転生者だからだろう。

 一般的な竜族だったら、取るに足らない弱小種族が何を言おうがして見せようが、感じる事はなかっただろうからなー。


 さて、竜のままだと言葉も通じないし(魔法でどうにか出来ない事もなかったんだが)、折角だから随分前に習得していた『人化法』を使って見せたんだよね。

 ちょっとうっかりしてて、巨体が一気に収縮した反動で巻き起こった大気の流動で、彼らが割りと酷い目に遭ったのは申し訳なかったなぁ(目を外らす)。


 で、なにやら呆然としてた流民たちに取敢えず治癒魔法かけた後で話を聞くと、まあ大体予想通りの境遇だったわけで。

 俺としては同情的に、どうとでもしてやりたかったんだが……竜族にはあるんだよなぁ、他種族に対するときの『マニュアル』みたいなのがさ。

 やれ竜族の権威を損ねては為らぬ、威厳を保たねば為らぬ、相応しき言葉遣い、振る舞いをせよ云々かんぬんと。


 馬鹿馬鹿しいと思ってたんだけど、最初にそう放言した瞬間に長老衆にあたる超長生きの先輩竜達からめっちゃ折檻受けました!(泣き)

 いやまじ怖いまじ痛い九割九部九厘殺し喰らいましてね……、その後に更正と言う名の調教(しつけ)を徹底的にされまして、もう条件反射で上から目線のマウント取った態度になっちゃうんだよ!

 もし前世的にフレンドリーな対応なんてしたのがばれたら、またあのフルコース喰らわすって脅されてんだよ!?

 なのでぼろぼろに成りながら安住の地を求めてきた彼らを、威圧しまくりのマシマシで見下した風になって、結局生贄受け取らざるをえんかってん……ごめんな、ほんとごめんなぁ!


「……、………っ」


 一人だけ残されたのが、まだ十代くらいの若い娘でな。

 食事だって満足に取れなかったんだろうさ、かなり痩せこけて、その上で俺の威圧にやられまくって顔面真っ青の全身真っ白。

 言葉もなく泣きながら立ち尽くしてる姿に、さてどうしたモンかと困ったよ。ほっとくとそのままショック死しかねなかったね、マジで。


 流石に受け取った直後に目の前で死なれるとか勘弁だったので、色々考えた挙句にその娘を『眷属化』させちまったんだよな……。

 ほら、瘴気竜の魔眼、あれ使ってさ。魂まで隷属させるってのは、詰りそう言う事なんだわ。


 お陰で俺の生命力を分け与えられて、命の危機は免れたんですがね。ええ、そこまでは問題ナッシングでした。

 なんかメッチャ陶酔と崇拝の視線で、メス顔して懐いて来たんだよ、思わずゾクッとくるくらいの勢いで。

 俺もその時は未だ人化したまま、よく見ると前世の西欧風に整った容姿の子でね、割と好みやってん。

 そんな子がさ、これより身も心も終生を貴方様にお捧げします、どうかお望みのままにお使いくださいってな?


 人化法って、性別意識しないと竜の生態的に両性具有、つまり『ふ○なり』で変化するわけで。

 つまり『アレ』もしっかり付いてて、ちゃんと使用可能なブツでしてね?

 うん、そのまま喰っちゃいました。勿論性的な意味でな!

 し、仕方無いんや、人化すると竜の時には感じなかった欲求とかまで再現されるんよ。

 それが竜だった間の分、一気に来たらどうなるか想像してみてくんさい。


 なんか気がついたら目の前でその子、ぐっちゃんぐっちゃんのどろでろ、とんでもない惨状のあられもない姿に成り果てていたんだぜ?

 ふっしぎー!


 はい、すいません、俺がヤリました(土下座)。


 眷属化してなかったらやばかったね、色々耐久性上がってなかったらマジで危ないライン逝ってた。

 とは言え竜として謝罪するわけにも行かず、魔法で身奇麗にしておいた娘が意識を取り戻してから一年ほど一緒に暮らした後、眷属化を解いて麓の村に帰してやった。

 なんか本人はもっと一緒に居たがってたけど、こう、あれだよ、目の前に居られると自分がやらかした犯罪の証拠を常に突きつけられてる気分でな、心苦しかってん。


 慰謝料代わりと、直系に受け継がれる系統の加護を与えて戻したら、それからなんか『巫女』とかに祭り上げられたらしい。

 ああ、うん、そうなる可能性は在ったよ。竜の姿の俺と交信出来る感応力も与えてたからね。


 それから十年くらいは、毎年登頂して来て念話を交わす程度だったんだけど、ある日小さな赤ん坊を抱えてきてなぁ。

 いつの間にか結婚していたらしい。うん、また尊大な態度で祝福してやったよ!

 本当はもっと温かみのある言葉掛けてあげたかったんだけどな……。

 それでも嬉しそうに、『この子は私の後を継ぐ、次代の巫女として育てます』って言われて、まあ今後も見守って行こうと思ったわけですよ。


 んで、今飛んでいたら、その子孫らの村が王国軍らしき奴らに襲われてるみたいなんですがね。


 一体どういう了見じゃ、ああ゛っ!?

 ぶ ち こ ろ す ぞ お ど れ らぁああああああああああああああああっっっ!!!!

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