第9話 魔王、思い付く
ステータスに書かれた数字はあきらかにバグである。じゃなきゃこの数字にならないでしょ!
「ヒカルのこのステータスは何?レベル1でこの数値って……。しかも、攻撃力や魔力も異常だけど一番異常なのはスキルよ。全部無効って異常だわ!」
「やっぱりスキルも異常でしたか。この称号剥奪っていうスキルって何か分かる?」
「初めて見るけど、さっきの事を考えればだけど与えられた称号……私で言えば勇者。ニーズルで言えば上級魔族。つまり、生まれた時に与えられる称号を奪えるスキルかしら? 相手が負けた、と思った時に奪えるスキルと言えば良いかしら」
「つまり?」
「異常なスキル」
簡潔だが分かりやすいな。
このステータスにこのスキル。これ無双し放題だな。
「しかも、奪った称号はステータスにプラスされてるから奪えば奪うほど強くなる。これ以上強くなってどうすんのよ⁉︎」
「俺に聞くなし‼︎ 俺だって今見て自分のステータスにビックリしてんだよ!」
「負けたのも当然だわ。私の奥義も効かないし第一勇者の剣を折る攻撃力があれば私なんて一瞬で殺されていたわ。ヒカルが変な魔王で良かったわ」
「変なとか言うなし」
ステータスを見るという目標は達成した。色々とツッコミ満載なステータスだったが、考えてみればこのステータスが無ければ俺殺されてたよ。
「魔王様。流石です。私めは魔王様の下につけた事が嬉しくてたまりません」
「うん。分かったから泣かないで?どう反応すれば良いか分からない‼︎ というか、これからどうするか話し合おう」
「ヒカルが外に出て攻撃すれば一瞬で殺せるわよあの気持ち悪い軍団を」
「お前を支持する軍を気持ち悪いとか言わないの‼︎ 後、殺しはしないからな⁉︎」
アルは本当に勇者の称号が無ければ魔王になってたんじゃないかな? 考え方が魔王よりだよ。
「それじゃあどうするのよ? 私は行きたくは無いわよ」
「そうだな。……要は魔王を倒したが相打ちで死んだって思わせれば外にいる義勇軍は帰っていくよな?」
「恐らくね。 いったい何をするつもりなのかしら?」
「ちょっと考えがある。 ニーズル。ニーズルはこの魔王城に何か思い出があるか?」
「全くありません。私めは魔王様だけが唯一の存在ですから」
「いや、重いな⁉︎ まぁ良いや。なら、魔王城を壊しても?」
「問題ありません」
俺はそれを聞きニヤッとする。