第11話 魔王、変身
「上手くいって良かった」
義勇軍が全員魔王城からいなくなり俺達は燃え壊れた魔王城の残骸の上に立っていた。
「勇者と魔王が相打ちして死す。それを魔王の配下が義勇軍に伝えて消える。たったこれだけのために魔王城を燃やすなんて」
アルが言った事は俺が考えた案だ。
勇者と魔王が死んでしまえば義勇軍は帰るんじゃないの? って思ったんだよ。それだけじゃあ心配だったから魔王城もついでに燃やした。特に思い出もないし良いかなって。魔法が使えない俺は出来ないだけだって思ったから火放てないかな?って思ったら火が出た。その火を使い魔王城を燃やした。飛んでいた配下はニーズルが幻覚魔法が得意だったから創って貰った。義勇軍が誰も気づかなかったのは予想外だった。
「さて、こっからどうするかね?」
「え?ノープランなの?」
「イエス!」
俺はキメ顔で親指を立てながらアルに言う。
アルは頭を抱えため息をはく。
「魔王様。魔王城が無くなった今ここにいても仕方ありません。魔王様は生まれたばかりです。旅に出ては如何でしょうか?」
「ニーズルナイス!良し。行こう!」
「少しはどこに行くか考えなさい! 全く。こんなんが最強の魔王とか本当に世の中終わってるわ」
「考えても仕方ない。行きたい方向に向かって歩こう! 二人がいればどんな場所でも楽しいに決まってるからさ」
そう言うと二人は顔を赤くして俺から顔を逸らす。
俺も言ってて恥ずかしくなったので逸らす。
「と、とりあえず今の格好じゃ魔族だってバレるわ。幻覚でもかけて人間になった方が良いわ」
「確かに。うし。やってみよう」
「え?」
俺は目を瞑り前世の俺を思い出す。
あの格好を思い出す。
「……おお。まさか制服姿まで再現されるとは思いもしなかった」
死んだ時はまだ高校生だった。だからか思い出すのは制服姿の俺だ。それを思い出したら見た目が魔族から前の俺の姿になった。
「って、何固まっているんだお前ら?」
二人は俺を見て目を見開いてる。
何かおかしいか?
「何で変身魔法が出来るの?変身魔法は超高度な魔法よ?呪文も無しに……おかしすぎるわ」
あ、アルは俺がした変身に対して固まっていたのか。
「魔王様最高です」
ニーズルは鼻血を出している。
あ、こいつはこいつで違う意味で固まっていたのか。