第1話 神様と俺
文字数は少なめなのでサクッと読めるよう頑張ります!
「貴方は死にました」
目の前にいる白いドレスを着た女性にいきなり告げられた。
「あの、何を?」
「ですから貴方は死にました」
「いや、ですから」
「死んだって言ってるのよ‼︎ これだから童貞は……」
「童貞は関係ないんじゃ無いんですか⁉︎」
目の前にいる女性に童貞と言われ思わず突っ込んでしまう。いや、確かに童貞だけど……
「って、童貞とかどうでも良くていきなり何なんですか⁉︎」
目の前の女性はえらく綺麗だ。
スタイルも良いし……胸は無いが。
「どうやら、まだ死んだ事を思い出せないようね」
女性は右手を俺にかざした。
途端に頭に映像が流れてくる。
ーー夜にたまたまコンビニへ歩いている最中。
後少しでコンビニに着くっていうところで居眠り運転している車に……
「ああああああ‼︎‼︎」
今みた映像で思い出した。
目の前に光が現れて、目を瞑った。
すぐ衝撃がきて意識が遠のいた。
で、目を覚めると……
「今の状況に至るわけか」
「あら? 物分かりが良いのね」
「あの見せられた映像で思い出したんだよ。忘れたいのにね。はぁ。死んだんだ俺」
「意外とすんなり現実を受け止めてるのね。大抵は暴れるか壊れるかなんだけど」
確かに死んだと分かったらそういう気持ちにはなるのだろうが……
「死んでしまったのは確かに受け止められない事実だが、現にこう死んだって分かってしまうと特に何も感情が湧かないわ」
「唯一心残りは童貞で死んだことよね」
「だから、童貞は関係無くね⁉︎ つか、童貞かどうかなんてあんたに分かるわけないだろうが⁉︎」
「中山 光。18歳。彼女いない歴18年。趣味は漫画、ゲーム、AV鑑賞。好きなAV女優は……」
「わー‼︎‼︎ 待って待って待って! 何で知ってんの?つか、恥ずかしいからやめてくれ‼︎」
思わず女性の口を塞いだ。
こいつ何なんだよ。
女性は俺の手を退かせ
「あ、紹介まだだったわね。私地球担当の神様よ」
「……」
「その顔は信じてないわね。なら、まだまだ貴方が隠している性癖とかエロDVDの隠し場所とか……」
「何でそっちの隠し事ばっかり知ってんの⁉︎」
「神様だから」
「ストーカの間違いでは?」
「ほう。神である私をストーカ扱いにするとは……」
なんか、目が怖い。
姉ちゃんがいるから分かる。
あの目は危ない。
昔、イタズラで姉ちゃんを怒らした時ああいう目になった。そのあとは酷い目にあったよ……。
「すいません。言い過ぎました」
「……仕方ない。許してやろう」
最初の口調がどこにいったのやら。
恐らくこの口調が素なんだろ。
と、改めて周りを見渡すと何もない白い空間だ。
俺が座っていた木の椅子と神が座っていた豪華な椅子以外は何もない。
ひとまず椅子に座る。
「あの、神様。俺がここにいる理由は?」
死んだらここにくる……って事は恐らくないだろう。俺は死んだら天国やら地獄やら行くなんて信じてないタイプだ。死んだら無に還るだけだって思っている。
神様も椅子に座る。
「転生してみない?」
「え?」
「だから、転生よ転生!」
神様の言葉になんて言えば良いか分からない。
「実はな、ある世界の魔王が死んでしまって代わりになる奴がいなくてな。丁度死んだお前がなれば良いんじゃね?って思って」
「軽いな⁉︎ つか、魔王に転生とかどういう事よ!普通勇者とかじゃないのか?」
「勇者はいるから無理無理」
「え? てか勇者がいるんなら魔王になったら滅ぼされるじゃん‼︎」
「まあ、そこは色々スキルをつけてステータスもチートにしてやるから」
「嬉しくねぇ‼︎ 魔王がいなきゃその世界平和じゃん!なる必要無いじゃん‼︎」
「色々とな魔王がいないと都合が悪いんだわ。だから、ほい」
神様がパチンと指を鳴らすと体がキラキラ光り出した。
「ま、だから頑張ってくれや!」
「強制的かよ‼︎‼︎なら、何故聞いたし⁉︎」
神が問いに答える間も無く俺はその場から消え去った。