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十五話 世界は少しずつ変わる

「ん、ここは・・・。」

 知らない天井、真っ白な壁、誰もいない空間。

 狭い部屋のはずなのに圧迫感が全くない。

 俺は、死んだのか?身体に力が入らない。

 あぁ、楽しかったなぁ。でも、もっとやりたいことあったし。

 あいつら大丈夫だったかな。

 ・・・コンコンとドアがノックされる。

 ドアなんてあったのか。気付かなかった。

「龍園くん、起きたんだね。おっと動かない!」

「みんなは?ここはどこなんだ?」

「みんなは無事だし、邪神も倒せた。ただ・・・。」

 死人がたくさんいたのは知ってる。

 酒飲みのキールにバカすぎるサイキ。仲のいい奴らが死んでしまう。

 悲しみなんてもんじゃない。

「龍園君の右腕、ないの。見るときは落ち着いてから、ね」

 ミークは申し訳なさそうに、悲しげな顔で告げてくる。

「や、生きてるだけで儲けもんだよ。だからそんな、

 悲しそうな顔すんな。」

「ごめんねっ、逸らせなかったっ。」

「お前は悪くねぇよ。用心しなかった俺が悪かった。」

 ドタドタッ、バタンッ。ルナじゃん、ゼェゼェ言ってやがる。

「大丈夫ですか?!」

「おぅ、大丈夫に決まってんだろ?」

「私、全然役に立てませんでした・・・。」

「そんな事ねぇよ。お前のおかげで死ななかった奴も

 軽症で済んだ奴もいただろう?それが今回の成果だろ?」

「は、はいっ!ありがとうございます。

 あ、私ちょっと用があるので失礼します。」

「おぅ。じゃっ、またあとでな!」

 俺は、少しずつ動くようになってきた身体を動かし、

 上にかかっているシーツを取る。

 そして、右側をみる。やっぱり無い。

「どう?やっぱりショックよね。」

「いや、かっけぇじゃん?!隻腕だぜ。しかも、

 片方だから、全然不自由なんてしないよ!?」

「うそでしょ、まぁ、君の事だから言っても変わんないと

 思うけど。」

「ポジティブシンキング!じゃないと心がしんどいだろ?」

「そうね、歩ける?歩けるなら、ちょっと外いこ?」

 そうして、外に出る。

 ん、なんか歌が聞こえる。ルナの声だ。

 しかも、これはレクイエムか、王族としての務めか。

 綺麗な声だな。ソプラノの。

「っ・・・。」

 なぜだろう、涙が出てきて止まらねぇ。

 ミークが無言でハンカチを差し出してくる。ありがたい。

 死んでしまったのか、あいつら。

 俺が不甲斐ないばかりに・・・!!

 

街は静かで悲しげなオーラを纏っている。

これから、国からの支援をもらって少しずつ復興していく。

だが、人々の心は癒されることはないだろう。

しかしそれも被害のなかった場所からしたら忘れられるだろう。

俺らは、少しずつ進む。立ち止まり、振り向き、進む。

俺は、初めて一つ決意をした。

俺の前で敵対する奴はすべてぶち殺してやる。

こんな悲しみ二度と味わってたまるか。そして、

味わせてたまるか!この街をこの国を守る。

俺の決意は、変わらない。ずっと永遠に。

この世界は少しずつ変わり、新たな朝を迎える。

暗い話になってしまいましたが、この話で一つのまとまりの終わりです。

いや、シリーズはまだまだ続きますが。

もし、読んでくださる人がいらっしゃるのなら、これからもよろしくお願いします。

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