「ぐるぐる回る、リンネの様に」
僕は命に嫌われていると思う、研究所上がりにそう思った。
僕は何度も転生した、いろいろな国、島、動物、転々と。
何度も死をみて、感じて、つまらないものだと思った。
僕は命を嫌った。
「あなた、わたしの弟子になりなさい。」
美しい人だと思った、色んなものを見てきて、一番美しいと思った。運命、そう運命だ。
「美しい人、僕はあなたと番になりたい。」
「それは100年はやいわ」
そうだった、僕はまだ10歳。
また、忘れていた。
数年後、やっと25歳になった、初めて魔法を覚え、大魔法使いと呼ばれ、僕の師匠は大魔女様と呼ばれた。
相変わらず美しいその人からある日、とある提案を受けた。
私をたべて。
イートミー、たべて、わたし?
脳内がぐるぐる。
おっと、語彙力が低下してた。
「そ、それは番になれというそういうことですか」
「いいえ、そのままの意味。わたしはこのまま朽ちていくわ、でも血肉を食べれば貴方は永遠よ。」
ああ、やっぱり命に嫌われてる。
感情という感情が冷たくなる感覚がした。
次に来る感情は悲しみだ。
「い...やです、いやです!それなら僕を食べてください!」
雨がしとしとと降り始めるかのように、段々と勢いをまして悲しみが溢れてくる。
そんな風に泣きじゃくる僕の手にしわくちゃな手が重なり優しく撫でた。
そして、今年400歳になろうとしている自分は人間を食らわないと人間に戻ってしまう、ならば人間になったわたしを食べれば僕はあと200年と175年は生きていけるのだと説明を受けた。
「わたしも師匠をたべたのよ、美味しかった」
「あのとき、なんで、ぼくをたべてくれなかったのですか」
「さあ、わからないわ、気まぐれだったのかも。ああ、でも、そうね、研究所に居た貴方を見た時運命というやつをかんじたわ。」
それのせいね、と笑う師匠に僕は分かりましたと承諾するしかなかった。
神様、僕はあなたが嫌いだ、命も、僕も、師匠も、みんな嫌いだ。
その夜、僕は師匠を食べた。
師匠の味はとてもしょっぱくて、涙みたいな味がした。
「君、僕の弟子になりなさい。」