「私も愛してる」
最近流行ってる、子供を拾ったら優秀になって守ってくれるという奴。
この前の魔女集会でだらしないあいつらが人間にお世話されてて無様だなと思った。
だから別に、うん、別に羨ましく思ったわけじゃないのだ。
「どうでぇ、お客さん。上玉だろぅ?」
「ああぁ、そうだナ、磨けばもっと美味しくなル。」
素材集め、龍人と海月のクウォーターが欲しくなっただけ。不死身にしてその血から薬を作ろうと思っただけ。可愛いくなるのかとか育てたらああなるのかなとか期待してるわけじゃない。
「金貨10枚、と言ったとこだナ」
「いいんですかぃ?へへ、ありがとうごぜぇやす」
奴隷は、自分の立場がわかっているらしく、取引後大人しく鎖を私に差し出した。
爆弾を仕込まれた首輪から古傷が見える限り、一時期相当な力で拒んでいたらしく、その傷のせいで最初は銀貨20枚だった。
家に帰り着いたら外してやろう、服を着せて、飯も食わせて太らせるか。
そう考えながら、鎖を引いた。
数年後
「なぜ逃げなかったんダ」
「あなたに一目惚れしたからです。」
「なぜ私なんだヨ」
「あなたがそう望んだからです。」
「望んでなイ!いなくなればよかったんダ!」
不死身の呪いが効かず、自分がポンコツだから、喪おうとしている。
魔女は赤い涙をたくさん流した。
怨みを吐きながら、素直になれない自分を憎みながら、大切な存在の死を嘆いた。
それでも、奴隷はこの人でよかった、幸せだった、愛してると言いながら命を落としていく。
魔女は不老不死だった、後すら追えず、涙だけがベッドに沈んでいった。