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order‐7

「卓弥ー」


 アリスさん達と別れてしばらく、校門の前で来斗に声をかけられた。


「さっきぶりだな」


「そうだな」


 校門付近は満開の桜と新入生で溢れかえっていた。


 しかし俺のこの落ち着かなさは新入生の賑わう入学式ムードによるものではない。何故か周囲から視線を感じるのだ。


 どこかからひそひそと声が聞こえてくる。


「あの人、けっこうカッコいいよね」


「思い切って話しかけてみようかなー」


「あのモブキャラみたいなメガネがいなければねえ」


 どうやら視線の対象は来斗らしい。確かに端正な整った顔立ちをしているしな。

 というか誰だ!俺のことモブキャラって言ったの!そこそこ傷つくからやめてくれ!


「何だか妙に視線を感じるな」


「あ、やっぱり?」


「まあ仕方ない。これでも俺は中学生の時、【更衣室のスカウト兵】と男子の間では有名人だったからな」


「更衣室のスカウト兵て何だ…」


「しかし女子にまで有名だったのだろうか?」


 違うと思うなー。


「そういえば卓弥は何組だった?」


 校門から入るとすぐのところに入学式会場の体育館への入口があった。新入生入口は、その少し横のほうにある小さな扉だ。


「俺は2組だったよ」


「よかった、僕も同じ2組なんだよ」


 クラスに知ってる人がいる、これだけで入学式では随分とたのもしいものだ。


「ところで卓弥」


「どうした?」


「女子更衣室はどこだろうか」


「…」


 それがたとえこんなやつでもだ。




「みなさんこんにちわ。担任の旗手映(はたてうつる)です、よろしく」


 入学式を終え、クラスの全員は教室に誘導された。


 まあ教室自体は別に中学と変わらない。イスがちょっと大きくなったなーぐらいなものだ。


 しかし先生については違った。


 目付きは少し悪いこと?いや、問題はそこではない。クラスの全員がその違和感に気づいていた。


 先生の腰に日本刀がぶらさがっている。


「困ったことがあったら何でも言ってください。できることなら俺がいつでも力になります」


 そう言って刀に手を置く先生。頼もしさが恐い。


 しかし根はいい先生っぼい。その真剣な眼差しは嘘をついている感じにはとても見えない。とりあえず良かった。


「でも先生にはどうしても許せないことが二つあります。ひとつは野菜を残すこと。野菜を残したやつは見えないくらいに切り刻んで食べさせます」


 …野菜をですよね?


「そしてもうひとつは日本刀の美を愚弄し銃に、とくにショットガンに傾倒するやつです」


 共感できない。


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