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キミが見た星ノ空。僕が見た羅針盤  作者: 候岐禎簾
最終章 星をあつめて。翼は大きく前へ
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#11 また見つけにいこう

「待った?」

 僕がその声を聞いたのはちょうど自販機で買った缶コーヒーを全て飲み終えた時だった。透き通ったブラウンの髪がとてもまぶしい。たぶんそう感じるのは僕が彼女を運転席から仰ぎ見るような姿勢になっているからなのだろう。なんだか久しぶりに再会した感じではない。いや、むしろ高校を卒業してからもずっと関係が続いているような、そんな心境だ。


「いや、待ってないよ。さぁ、行こうか」


「えぇ、そうしましょう」

 彼女が助手席に乗ったのを確認した後、僕はゆっくりとアクセルを踏んで駅前のロータリーを出た。


 ***


 車は市内中心部を出て緩やかに国道を北上する。望瀬ヒカリノ岡公園まで車で約四十分ほど。高校時代に数時間をかけて行ったのが懐かしく感じる。

 都心を運転するのと比べるとここら近辺はとても運転がしやすい。基本的に二車線道路しかないからなのだろう。フロントガラスから見える太陽がとてもまぶしい。まるで今日一日の空模様を予感しているかのようだ。


「車の運転うまいね」

 車内で話す話題を探していたのだろう。彼女は不意にそんな事を言った。


「ハハッ……。今年の免許の更新でゴールド免許になったからね。彩葉さんは運転はしないの?」


「もちろんするよ。ここら辺じゃ運転をしないとどこへも行けないもの。得意ではないけどね」


「そうなんだ。僕も同じ感じだよ。得意じゃないけど必要に応じて運転する――」

 何気無い、そしてどこか在り来たりな会話が続く。

 正直、今の二人の距離はとても近い。少し手を伸ばせばふれ合えるくらいに。でも二人の事情がそれを許さない。もちろんそんなことは理解している。

 でも……。


 ***


 目的地に近づくごとに風景が目まぐるしく変わっていく。望瀬町は別名『米の町』。その名の通り周りの景色は田んぼと数件の民家だけに様変わりしていた。


「彩葉さんは普段ここら辺に来ることはあるの?」


「あるよ。自然豊かなところに私ありって感じだから」


「そうなんだ。ってことはもしかして夢を叶えたの?」


「うん。ここまでくるのは大変だったけどね。でもまだ私的にはスタート地点に立ったって感じ」

 おそらく彩葉さんは既に今後の未来のビジョンを想い描いているのだろう。努力家の彼女のことだ。きっとその未来を超えて行くだろう。


「私ね今、植物の研究をしているの。主に樹木関係の。実は望瀬ヒカリノ岡公園には私が試験的に植林した特別な木があるのよ」


「そうなんだ――。すごいね。ぜひ僕もその木を見てみたい」

 車は平坦な道路を越えて坂道がぐるぐると続く道へと進む。この先に僕たちが目指す場所、『望瀬ヒカリノ岡公園』があった。


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