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キミが見た星ノ空。僕が見た羅針盤  作者: 候岐禎簾
最終章 星をあつめて。翼は大きく前へ
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#10 いつも不器用だけど

 朝、少し早い朝食を済ませた僕は父さんから借り受けた自家用車のカギを持って車庫へと向かった。カギを借りた時、父さんは一言『楽しんでこいよ』といい寝室へと入っていった。おそらくもう一眠りするつもりなのだろう。

 車庫のシャッターを開けて中へと入る。正直、車の運転は久しぶりだ。これはひとえに東京に住んでいるからなのだろう。幾重にも張り巡らされた電車の路線。手をあげればすぐに止まってくれるタクシー。それに安価な値段で利用できるバス。

 個人用の駐車場の値段が高いというのも僕が車に乗らなくなった一因なのかもしれない。

 でも、そんな日々も今日でおさらばだ。今日これから行く場所は望瀬ヒカリノ岡公園。九年前は電車とバスを使って向かったのだが、今の僕は車の免許を持っている。

 月日というのは不思議なものだ。過去にできなかったことが今ならできる。ほんの小さな勇気とやる気さえあればいいのだ。

 だから――。

 その瞬間、大きく深呼吸。

 そして僕はゆっくりと車のアクセルを踏んだ。


 ***


 窓から見える景色が揺れる。まるで今の僕のようだ。明日の昼には東京に帰る。これ以上休みを取るわけにはいかない。

 あの華やかな都会にはたくさんの人々がいる。

 そして杏華もあの場所で僕の帰りを待ってくれている。

 彼女はどんなに遠く離れていても僕のことを想ってくれている。僕はそれにきっちりとした答えを返す時期がきていた。

 駅前のロータリーに車を停めて彩葉さんが来るのを静かに待つ。カーラジオからは今流行りの曲だろうか。何回も同じ曲がリクエストで流れている。

 その一方で駅前の人通りはと言うといつもより多い気がする。今日が連休最終日ということもあるのだろう。ある者は駅に入り、またある者は駐車場に停めていた車に乗り込んでいく。

 待ち合わせの時間まであと十分ほど。正直、時間が過ぎるのがとても遅く感じる。

 太陽に照らされて眩しいまぶたを押さえながら僕は彼女が来るのを今か今かとただひたすら待っていた。


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