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キミが見た星ノ空。僕が見た羅針盤  作者: 候岐禎簾
最終章 星をあつめて。翼は大きく前へ
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#9 加速する想い、不器用な想い。重なる想い

「……。そうなんだ」

 彩葉さんは僕の言葉に合わせるようにそう呟く。今のところ僕が喋った後、彼女がそれに反応するといった会話の流れだ。こういう雰囲気は高校時代と何一つ変わっていない。

 不思議なのは彩葉さんは自分のことをあまり話さないのだ。今、なんの仕事をしているかとかこれまでどんな経緯いきさつがあって現在に至るかとか。

 さて、じゃあいつあのことを話そうか……。

 心の中に悩み事を抱えつつも外面そとづらは笑顔という自分の状況にほどほど嫌気がさす。

 それにしても彼女の様子が若干おかしい。なんていうか――。うまく表現できないけど――。

 とりあえず『あの事』を聞いてみよう。

 そう決心した僕は一気に話を切り出した。


「彩葉さん、渡したいものってなんですか?」

 向こうから手紙を送っておいて言うのは僕からというのもおかしな話だが仕方ない。

 だって彼女からは言わないのだから。


「これ。どうしても二人で行きたいの」

 彩葉さんはバックから二枚のチケットを取り出した。そこは僕が知っている場所でもあった。


「望瀬ヒカリノ岡公園天体観測所……?」

 公園のことは前から知っている。でも天体観測所なんて知らない。むしろそんな施設があっただろうか――。


「六年前にオープンしたのよ。ちょうど私が高校を卒業した年にね。その時はもうすでにあなたと連絡をとるのをやめていたから」


「それはそうですけど……。でもなんで今になって?」


「私、プロポーズされてるの」


「えっ!?」

 その瞬間、僕は席を立っていた。

 こんなにも驚いたのは久しぶりの事だ。


「大学の時の同級生にね。付き合い初めて五年目でそう言われたの。彼には少し待っててと言ってあるの」


「そ、それはどうしてですか?」


「あなたとまた会いたかったから。そしてその想いを手紙に託したの。そして私達は今ここで会って話をしている」


「あっ――」

 たしかにそうだ。それは否定はできない。

 ということはここから先は僕次第か。もちろん東京に彼女がいることを話して断ることなんて容易たやすい。でも、それは――。いや、ここで後悔なんてしたくはない。


「一緒に……。ぜひ行きましょう。もう一日くらいなら休みも取れるので明日はどうですか?」


「ありがとう。もちろんいいわよ。じゃあ時間は……」

 その瞬間、今日初めて彼女が笑った。その笑顔も高校生の頃と何にも変わっていない。

 変わったことと言えば彼女に彼氏がいるのと――。

 僕に結婚を前提にお付き合いをしている彼女がいることくらいか。


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