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キミが見た星ノ空。僕が見た羅針盤  作者: 候岐禎簾
第四章 冬のイルミネーション
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第34話 線の行き先

 過ぎ去る景色がなんだかいとおしく感じる。季節はまだ冬。電車の窓から見る外の風景はどこかしっとりと寒気を帯びていた。


「奈都也君は卒業後の進路とか考えてるの?」


「卒業後かぁ。まだまったく考えてないです」


「そう」

 何か言うわけではなく一言そうつぶやく彩葉さん。進路について何か思うところがあるのだろうか。


「彩葉さんはもうすぐ三年生ですね。何か考えてるんですか」


「聞きたいの――?」

 そう言うなり彼女は僕の顔を覗き込んでくる。その瞬間、グッと二人の距離が縮まる。


「はい……。ぜひ――」


「私ね、樹木医じゅもくいになりたいの」


「えっ!?」

 予想外の返答に驚いてしまう。てっきり所属する部活から想像するに天体に関係のある進路や職業と思っていたのに。


「あら、なんだか予想外って感じの表情ね」


「そうですね……。てっきり宇宙や星に関連する道かと思ってました」


「あら、木だって星のようなものよ。幾重にも空に向かって伸びる枝はまるで夜空に輝く星々のよう。ってちょっと言い過ぎかな」


「言い過ぎじゃないですよ。その夢、応援してます!」


「そう、ありがとう」

 さらりと小さな声でそう言う彩葉さん。顔には出さないがどこか嬉しそうな雰囲気を帯びていた。


「奈都也君はい、これプレゼント」

 彩葉さんはカバンから茶色い包み紙に包まれた何かを取り出しながらそういった。一見したところ何が入ってるのかわからない。


「彩葉さんこれは?」


「自家製手作りキャラメル」


「――!?」

 まさか彼女にキャラメルを作れるスキルがあるとは……。ある意味さすがである。


「いらないの?」


「もちろんいただきます!」

 彼女が作ったキャラメルの味は……。いや、言葉にするのは今はやめておこう。


 ***


 ――次は望瀬駅――。望瀬駅――。

 目的地を告げるアナウンスが聞こえる。どうやらここで僕達の小さな旅は終わりらしい。


「こうして話をしながらだと時間がたつもの早いね」


「そうだね。じゃあ――」


「そろそろ降りましょうか」


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