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キミが見た星ノ空。僕が見た羅針盤  作者: 候岐禎簾
第四章 冬のイルミネーション
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第30話 大きく手を伸ばして

 玄関の扉を開けると冷たい風が吹き付けてくる。この風を浴びるだけでも今日の外の寒さを感じることができる。

 今日は幸いな事に授業は五時限の日。いつもよりも少し授業が少ない。その事実が僕をほんのすこしだけ元気付けてくれる。


「さぁ……。行こうかな――」

 改めてマフラーを巻き直した後、僕は外への第一歩を踏み出した。


 ***


 寒さに負けないようにとたくさんの肌着を身につけて学校に登校する。目に写るのは冷たく底冷えするような外の空気。時折日差しが覗くものの空を覆う厚くどんよりとした雲は僕の心を若干冷たくした。


「おぉ、夏立お早う――。今日はいつも以上に寒いな……」

 校門付近で海原と出くわす。彼もよぼど寒いのか首にはマフラーをぐるぐる巻きにしている。


「まさに十二月の到来っていう感じだな。そのうちすぐにクリスマス、そしてお正月がやってくる。本当に一年は早いものだねぇ」

 相変わらずノリの良い海原はニコニコとしながら僕にそう話しかけてくる。その言葉を僕は軽く相づちを打ちながら受け流した。


「そう言えばこの週末は駅前のイルミネーションの点灯式があるの知ってる?」


「あぁ――。この町の冬といえば点灯式だからね。それがどうしたのさ?」


「いやね、今年の冬は楽しみだなぁ――。なんて」


「あぁ、そう……」

 海原のいってる意味がうまく要領を得てなくて何を伝えたいのかよくわからないが、とりあえず最近、嬉しいことがあったのだろう。そのいつも以上にニコニコした表情がそれを物語っている。


「海原よ、幸せなのは良いことだ。お互い頑張ろう――」


「そうだな――。夏立よ、冬は寒いからこそ心は温かくしような……!」

 海原はしみじみとした口調でそう言った。その時、彼の言いたいことがうっすらとわかったような気がした。


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