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キミが見た星ノ空。僕が見た羅針盤  作者: 候岐禎簾
第四章 冬のイルミネーション
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第29話 冬の心はその翼を広げて

 十二月に入り一段と寒さが堪えるようになってきた。まだ僕が住む緒海市では初雪が観測されてないがそれも時間の問題だろうなと思えてくる。そんな日々が続く今日この頃の僕はというと、学校から帰るとすぐ自室へと向かい彩葉さんと約束した望瀬町へ行く予定を立てている。もちろん二人とも運転免許は持ってないので、自然と電車旅ということになる。緒海市から望瀬町のぞせちょうまで電車を乗り継いで約一時間ほど。八つの駅を通過しなければならない。


「う――ん……」

 望瀬駅から目的地の望瀬ヒカリノ岡公園まで徒歩で約十五分ほど。往復で三十分ほどか。もちろん二人ともまだ高校生なので帰るのが遅くなるわけにもいかない。


「最終的に緒海駅に着くのが十時三十分か……。明日、部室でこの事を伝えないとな」

 僕がこの場所に彩葉さんを連れていきたい理由。それはひとえに彼女の笑顔が見たいためだ。冬だからこそよりいっそうと輝くその景色を僕は彼女に見せたかった。少しでも彩葉さんが抱えた悩みを無くすために。


「よし、そろそろ夕御飯の準備をするか。今日は俺の当番だし!」

 そう一言呟いた後、僕は旅行計画を事細かに記した手帳を閉じた。


 ***


 次の日の朝はとても寒い風が吹いていた。その風が吹き付ける窓のギシギシといった音で僕は目が覚めた。


「あっ――」

 カーテンを開けて外を見るとうっすらではあるが雪が降り積もってる。日が上ればすぐに溶けてしまうような微かな降雪ではあるが、この冬一番目の雪である。そう考えるとなんだか感慨深かった。


「冬が本格的にやって来たんだな……」

 窓に手を当てながら僕はそう一言呟いた。あと少ししたら期末テスト。そしてそのあとは冬休み。今年の冬はなんだかかけがえのない思い出を残せそうな、そんな気がした。


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