第18話 おじいさんの夕食会に招待されました
弥惣吉次郎さんに言われた通り約一時間後、俺達三人は管理小屋へと向かった。正直、三人とも腹ペコである。橘さんからもらったお菓子はかなり食べたのだが、やはりお米が食べたい。オムライスが食べたい……。
「さすが奈都也君。まさかキャンプ場でオムライスを食べれるなんて夢にも思わなかったわ」
ニコニコしながら彩葉さんはそう言う。横でテクテク歩く橘さんも嬉しそうな表情を浮かべている。
「ところで彩葉さん。夕食後の天体観測はどこでしますか?」
「そうね……。あの丘の上とかどう?」
「あっ、そこは止めといた方がいいです」
「どうして?」
「山からイノシシが降りてきてまして……。危ないです」
「そう。なら仕方ないわね。じゃあ向こう側に広がる草原でやりましょうか」
「そうですね。賛成です。あっ、小屋が見えてきました」
管理小屋に近づくほど匂う美味しそうな香り。これは期待が持てそうだ。
***
「おぉ、若いの三人衆よ。よくぞ来た。ささっ席に座りなさい」
弥惣吉次郎さんは満面の笑顔でそう言う。用意されたテーブルには美味しそうなオムライスとサラダとスープ。すごい――。見た目は百点だ。彩葉さんも橘さんも驚きの表情を浮かべている。
「お、おじいさんこんな美味しそうな食事どこで作ったんですか?」
「おぉ、そこのミニキッチンでな。これでもワシは若い頃、ペンションのオーナー兼料理人をしていてな。どんなに小さな調理場でもある程度の料理を作ることができる」
「へぇ――。そうですか」
弥惣吉次郎さんは昔、オーナー兼料理人をしていたのか。たしかにどことなくその風貌を全身から醸し出している。
「さぁ――。では三人ともこの日の出会いに感謝しながら乾杯をしよう。もちろん君たちはまだ未成年だから麦茶でな。かくいうワシもビールは苦手じゃ。だからワシも麦茶じゃ」
「いや、弥惣吉次郎さん。結局みんな麦茶じゃないですか!」
ここで俺はツッコミを入れる。
なんだか楽しい即席夕食会になりそうだ。
それに食後は弥惣吉次郎さんによる怪談話もあることだし……。