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キミが見た星ノ空。僕が見た羅針盤  作者: 候岐禎簾
第二章 夏のキャンプ場~天体観測合宿~
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第14話 ホシノハナシ

 僕が宮津山里神社に到着した時、夏宮さんと橘さんはもうすでに来ていた。


「時間ギリギリね。一応、セーフだけど」


「おはようございます!」

 彩葉さんは相変わらず辛口。そして、その横で橘が微笑む。最近良く見る光景である。


「意外と重たかったのよ。天体望遠鏡一式。ここから先はあなたが持って行ってよね」


「はい、わかりました」

 こういう時は敢えて反論はしない。向こうはこの部のトップである部長なのである。


「じゃあ……。行きましょうか。ここからキャンプ場まで歩いて十分ほどだから」

 こうして僕達三人は歩きだした。


 ***


 落ち葉が降り積もる山道を抜けて僕達は前へ前へと進む。天体望遠鏡は意外と重く二人に数歩遅れて僕はその影に続いていく。天候は予報通り晴れ。夏の陽射しがサンサンと光輝いているが、道を取り囲むように生えている木々のお陰でそんなに汗をかくことはなかった。


「ねぇ、奈都也君。流れ星見たことある?」

 その時、不意に彩葉さんが僕に話を振ってきた。


「流れ星ですか――。正直見たことないです」


「それは残念ね。私は小学校六年の時に一度だけ見たことがあるの」


「その時、何か願い事をしたんですか?」


「いいえ、してないわ。あれってかなりあっという間なの。事前に心の準備をしてないと無理よ」

 少し怒りを込めた口調で彼女はそう言った。たしかにそうなのかもしれない。もしも偶然自分が流れ星を見る機会があったら……。

 その時、何を願うのだろうか。二分ほどその事について考えたのだが、答えは見つからなかった。


「皆さんキャンプ場見えてきましたよ!」

 そう言いながら橘さんが指を指す。この坂道の先に僕達が今日一泊する予定のキャンプ場『神登水山山麓前キャンプ場』があった。


「それにしても……。名前ややこしいわね。山麓なのか前なのかはっきりさせなさいよ」

 その時、彩葉さんがポツリと一言そう呟いた。


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