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キミが見た星ノ空。僕が見た羅針盤  作者: 候岐禎簾
第一章 春の出会いと部の再生
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第12話 ある一日の一コマ

 夏休みを間近に控えたある初夏の日、僕はたちばなさんを食堂ランチへと誘った。部に入ってくれたお礼も込めて。そういえば今日は金曜日、明日から二日間休みだと思うととても嬉しく感じる。天気予報によるとこれから先は晴れ間が続くという。


「うちの高校、メニューが充実しててとても良いよね」


「私もそう思う。とくに毎週水曜日限定のデミグラスチーズマヨネーズハンバーグ定食サラダ付き!」

 橘さんは相変わらず声は小さいが雰囲気良く僕の質問に答えてくれる。その事が内心とても嬉しかった。


 昼休み後半ということもあって食堂内は比較的空いている。来る時間帯を変えてみるとこうも違うのかと思えるくらいに。


「橘さんは何食べる?」


「私は……。月見うどん!」


「おばちゃん、月見うどんとカレーライスちょうだい!」


「あいよ――」

 ベテラン調理員のおばちゃんは微笑みながらそういった。


 ***


 料理を取り終えるとすぐ近くにあったイスに座る。彼女もそんな俺に続く。


「橘さんはどこで天体観測研究部のことを知ったの?」


「一階保健室前にある部活紹介の掲示板。偶然、そこで知ったの」


「あぁ、あれか……」

 たしかあの掲示板には俺が端正込めて手作りした『新部員急募』の紙をペタペタと張った。まさかそれがきっかけだったとは。


「新しい天体望遠鏡買ってもらえたんだよね……?」


「うん。部にくるのは一週間後みたいだけど」


「よかった。楽しみ」

 橘さんは嬉しそうな笑顔を見せながら月見うどんを食べる。その表情を見て一瞬僕も月見うどんにすればよかったなぁと心の底で思った。


「今日部活にでるよね?」


「うん、出ます。夏休みに入ったら神登水山山麓かみとみやまさんろくにあるキャンプ場に部のみんなで行くんだよね」


「そうだよ。名目上は天体観測合宿だからね」


「お菓子は三百円まで?」


「いや、もちろん上限はなし。一応、リュックに入りきる量かな」


「そうなんだ。期待してますよ。副部長さん?」


「そ、そんなからかわないでよ」

 いつから僕は副部長になったんだろうか。まぁ、部員が三人しかいないなら当然の流れかもしれないけど。内心もっと橘さんと話したかったのだけどそれは時間が許してはくれなかった。


「最後にさ一つ聞いていい?」


「うん、いいよ」


「緑色好き?」


「うん――。好きだけど」


「そっか。それは良かった」


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