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キミが見た星ノ空。僕が見た羅針盤  作者: 候岐禎簾
第一章 春の出会いと部の再生
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第11話 希望の一言

「ここ……。天台観測研究部でいいですか?」

 ひょいとドアから顔だけを覗かせながら彼女はそう言う。


「えぇ、そうですけど。どうしました?」


「これ……」

 彼女は無造作に胸ポケットから一枚の紙を取り出す。その紙を僕は受け取った。


「入部届け……。ですか。えっ――!?」

 その時、僕は予想外の展開に胸がいっぱいになった。その紙には『天台観測研究部に入部したい』と書いてある。ただ一つ残念なのは届けを出す場所を間違えてることだけだろうか。


「いいの?」


「はい。あっ私、一年の橘香たちばなかおると言います」


「僕は部員の夏立奈都也なつたちなつやと言います。そして、隣にいるのが事実上の部長である夏宮彩葉なつみやいろはさんです」


「ちょっと事実上の部分は余計よ。香さんありがとう。おかげでとても助かったの。でも、どうしてうちの部へ?」


「私の姉の影響です。小さい頃、夏場になるとお姉ちゃんと一緒によく緒海崎灯台公園でで星を見てて。だから私も自分の力で天体観測ができるようになりたいんです!」


「本当に良い姉をもったわね。おかげでこっちも大助かりよ」

 彩葉さんは涙を拭う素振そぶりを見せながらそう言う。もちろんジェスチャーである。


「なんならお姉ちゃんも入部してもらえないかな?」


「いえ、姉はもう卒業してます。今は家具職人になる勉強をしてます」


「家具職人――。すごいわね。なんなら私の部屋の本棚を作ってもらいたいくらいよ。でも、入部ありがとう。さっそく顧問の先生に提出……。って先生もうすぐこっちにくるからその時、渡しましょう。コーヒー飲む?」

 彩葉さんがふいに香さんにコーヒーを薦める。たしかにうちの高校の自販機で売ってるパックコーヒーはとても美味しい。


「コーヒー……。いただきます」


「そんな遠慮がちに言わなくてもいいのよ。飲める時にどんどん飲んどきなさい!」


「はい!」

 新部員というより彩葉さんの新しい手下てしたといった感じだが、これで助かった。部が存続できる。それに新しい天体望遠鏡を買う予算もおりるだろう。


「あっ彩葉さん俺もコーヒー!」


「何か勘違いしてない? あなたが下まで降りて三人分のコーヒーを買ってくるのよ?」


「えっ!?」


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