第10話 キボウドア
次の朝、僕は憂鬱な気持ちで学校へと向かっていた。今日が新部員募集の最終期限日。今日、新部員を獲得出来なければ天体観測研究部は廃部決定。彩葉さんとの約束も守れないことになってしまう。
「どうしよう……」
夜、いろいろと案を練ったのだが結論はでなかった。
「おっはよう!」
憂鬱な僕の背中を誰かが叩く。振り向くとそこには彩葉さんがいた。
「元気だしてよ。部員は見つからなかったけど……。仕方ないよ」
きっと彩葉さんも胸の奥では落ち込んでいるはずだ。でも僕にはそんな素振りも見せない。
「なんだか……。力になれなくてすいません」
「いいよ。仕方ないよ」
そんな健気な彼女の微笑みが僕の胸に突き刺さった。
***
放課後、僕は部室へ向かう。もしかしたら今日で天体観測研究部はなくなるかもしれない。いや、このままでは間違いなく廃部決定だ。
――ガチャ。
ドアを開けるとそこにはもうすでに彩葉さんがいた。
「待ってたよ」
彼女はニコリと微笑みながらそう言う。
「彩葉さん本当に今日でこの部はなくなるのでしょうか?」
「そう……。なるわね。残念だけど。もうすぐ顧問の先生が来るはずよ」
「わかりました」
どこかでこの流れを止めることが出来なかったのだろうか。そんな言葉を脳裏を過る。でももう遅いのだ。
――トットットッ……。
静寂が支配する廊下から足音が聴こえる。きっと彩葉さんがいうように顧問の先生だろう。
でもその時の僕の予想は違ってた。
僕と彩葉さんが蒔いた希望の種は着実に育っていたのだ。