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38.料理店

「へぇ、試験受けてトレニター学園に入学するのか?」

「まぁ、そんな感じ」



昼下がりのある日、料理店クックルにて食事中。

シークス、キーン、ニムルとは先程たまたま遭遇し、こうして飯を食べている。エルサも一緒だ。



「シークスたちも入学したんだよな?」

「あぁ、俺は2年かかったなぁ」

「僕はお恥ずかしながら3年ほど………」

「同じく」



なるほど。同時期に入学しても卒業に差が出る場合があるのか。



「確かエルサは1年じゃなかったか?」

「もしかして同期だったりすんの?」

「まあな。年齢無制限だから歳が離れてるやつもいる。俺と同期じゃ45歳とかいたなぁ」



うわ、年寄りが同級生とかイメージ湧かねぇや。

てかエルサ1年で卒業したのか化け物め。



「1年で卒業できるやつってほとんどいねぇぞ。俺らの中じゃエルサが断トツだった」

「失礼ね。あんたも1年で卒業できるはずだったじゃない」

「だった?」



なんか引っ掛かる物言いだな。

ニムルが耳を寄せてコソッと教えてくれる。



「シークスくんの場合は少し問題を起こしてまして…………」

「というと?」

「欲望を。抑えきれなかった」

「なるほどよくわかった。もう言わなくていい」

「ロリコン魂を発揮してしまい1年先延ばしになりました」

「言わなくていいって言ってんだろ!?」



コイツは前からそんなにロリコンだったのか…………。



「だって!可愛かったんだ!しょうがなかったんだ!」

「何言ってんのコイツ?」

「ちなみにその子は最年少記録保持者です」

「へぇ、でも3年立ったってことは今は12歳?」

「俺の許容範囲だ!」

「誰かこいつを止めてやれ!」



こいつの暴走は何やら(クラス)並の力を発揮するらしいからな。手がつけられん。



「それで。入学するために。修行。プラスの。教育?」

「たまに思うんだけどキーンはその言い方喋りにくくないの?」

「これがキーンくんなんです」

「おかげでダンジョン改造が先延ばしになったよ………」



ただでさえ盗賊とのいざこざでやれなかったのに今度は何年後にやれるのか分からなくなってきた………。



「あんたはバカなんだから必死にやらないと合格できないわよ?実技だけじゃなくて筆記もあるんだから」

「どこの学校の入学試験だよ!」

「実際入学試験だからね」

「ですね」



筆記なんて、筆記なんて…………!

いや実技もだけど。



「ニムル~~教えてくれぇ」

「あはは………。でもしばらくこの村にはこれないですよ?」

「え、なんで?」

「《嵐の鳳凰団》のほうで依頼がありましてそれで召集を受けたんです」

「あらら。それはまた大変ね」

「そろそろ。行かないと」

「あ、そうですね。それではまた。ほらシークスくんも」

「おう、またな」

「頑張ってね~」



キーンとニムルがシークスの首根っこを掴んで出ていく。

やれやれご苦労なこった。



「あら?今シークスくんたちが出て行ったけど」

「あ、キュアさん。そこに勘定置いてありますよ」



ニムルたちと入れ違いで入店したのは先程買い足しに行っていた《クックル》店長キュアさん。

唯一の店を仕切る人が客を放ったらかしで出掛けるのはいかがとは思うがそれほどこの村の人たちを信用しているのだろう。そして皆も信用を裏切るような真似はしない。



「というか学園で最低1年で最悪4年かぁ~~。俺ぜってー4年かかるって。約2週間で35話以上いってんのに4年かけたら一体何話かかんの?この作者正気?」

「はいそこ作者にケチをつけない!それは言わないお約束でしょ!」

「何、やってるの?」

「あ、イーナ」



知らないうちにイーナが入店して隣に座っていた。

たまに気配消すよなー。こいつ。



「イーナちゃんは何にする?」

「おまかせで」

「わかったわ」



そう言ってキュアさんは作り始める。

見た感じチャーハンかあれ?



「そういえばこの店って定食料理中心だよな。スイーツとかは作らないのか?」

「シュークリーム、ぐらいじゃない?」

「あ、キュアさん。シュークリーム15個お願い」

「それ一人何個計算?」

「15個計算」

「全部食う気か!」



エルサは本当にシュークリーム好きだよな。

キュアさんはどうやって作るのか気になる。

オーブンとか無いのによく作れるな。



「エルサは自分でシュークリーム作らねぇの?」

「…………………スイーツ作るの苦手で」

「へぇ~意外」



いつも家庭料理普通に振る舞ってるからいけるのかと思ったのにスイーツは苦手なのか。そういうもんかね。



「私は、苦手」

「シュークリームが?」

「料理全般」



あぁ、やっぱこういう人いるんだよなー。

料理苦手な人。かくいう俺も苦手の部類なので何も言わない。



「媚薬なら………」

「それは絶対に料理の部類に入らねぇからな!?」

「自白剤……」

「お前の料理の定義を知りたい!」



どうしてもそっちに偏るのか!よくこれで鍛冶屋になったもんだな!あれ、でも本当になんで鍛冶屋になったんだろうか。

今度聞いてみよ。



「あ、それならイーナちゃん1回作ってみる?」

「いいんですか?」

「苦手なら挑戦するのも大事よ?」



おぉ、キュアさんいい提案や。

それなら俺も教えてもらおうかな?ついでに。



「オウマ、審査頼める?」

「え、あ、俺?まぁいいけど」



なぜ俺なのだ。しゃーない。あとで料理教えてもらおう。



「それなら私も作る!」

「エルサは得意だろ?料理」

「あ、それは………そう!スイーツ苦手だから!教えてキュアさん!」

「それなら作るのはシュークリームにしますか」

「うん」



エルサとイーナが拳を握る。

シュークリームか………、ま、キュアさんが指揮をとるなら大丈夫だろ。



「これも花嫁修行だと思って頑張りましょうか」

「それ私も参加させてください!」

「うおぉ!?リリィどっから湧いた!?」

「花嫁修行ができると聞いて!」

「お前の耳性能いいな!」



さっきまで店内にいなかったはずのリリィがいつの間にか俺の後ろにいた。

どんな特殊な耳しているんだ!



「そうね。それじゃリリィちゃんも一緒につくろうか」

「はい!お願いします!」



ふむ、なんか嫌な予感がする。



「オウマお兄ちゃん!私の作ったシュークリーム食べてね!」

「はい、ですよねー」



いつの間にか3人の審査係になっていた俺。

どうしましょ。



「オウマに美味しいと言わせた人が勝ちね?」

「上等」

「頑張る!」



いつの間にかバトルになっとるぅ!?



「あら、それなら最初は私は何も手伝わないほうがいいかしら」

「いやキュアさん見張り役大事ッスよ!頼んます!」

「大丈夫キュアさん!私達だけで何とかする!」

「おのれ俺を殺す気か!」

「どんだけ私達信用ないの!?」

「苦手と言っていたやつらの何を信用しろと!?」

「オウマ、大丈夫。安心して」

「シュークリーム作るのにネギを持ってるやつを見て安心できるかぁ!」



なぜかお題はシュークリームなのにネギを持つイーナ。

君はネギを食べていると思ってたのかね!?



「違う」

「何が!?」

「オリジナルを、加えようと思って」

「それは死亡フラグぅ!」



それ料理ができない人の定番の間違い!

普通のを作ればいいのになんで工夫しようとするんだ!



「美味しいのを作るから楽しみに待ってて!オウマお兄ちゃん」

「おぉ、なぜかリリィが一番頼もしい」



願わくば今日を生き延びれることを祈ろう。

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