表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/59

28.存在感

「まずはメンバーの確認からするか」



シークスがそう切り出した。


俺は周りを見て誰がいるかを確認する。



「俺、エルサ、クズ、ニムル、キーン、イーナ、リア充カップル、リリィ、キュアさん」

「誰がクズだ!」

「誰もシークスをクズとは言ってないぞ?」

「俺の名前が出てなかったんだけど!?」



気のせいだ。



「オウマよ。俺たちも名前で呼ばれなかった気がするのだが?」

「リア充死滅せよ!」

「あぁうん、もうわかった。ツッコまない」



リア充はこの世には存在しないはずの生命体なんだよ!



「しかしオウマも同類だとは思うけどな」

「へ、どこが?」

「エルサと同棲してるんだろ?」

「………………おぉ」



ジンクに言われようやく気づく。

確かに俺、何気にリア充だな。

いやいやいやそうではないだろオウマ。



「リア充ってのは少なくともどちらかが相手に好意を持ってなきゃ成立しないだろ。こういうのは皮肉って言うんだ」

「……………………そうか。お前がそれでいいならいいんだが」



なぜかジンクに哀れむような目で見られた。ついでにシークスにも。

なぜお前ら俺をそんな目で見る。

あとなぜエルサも顔を赤くする。


すると背中に視線を感じた。そっちの方を向くとイーナが俺を見ていた。



「イーナ?」

「リア充って片想いならリア充なの?」

「ゴメン。その解釈だと号泣する人が続出だと思う」



俺の言い方が悪かったのかな!?別に相思相愛も充分なリア充だろうし、てかそれが本来のリア充だろう。

片想いが全てリア充なら俺リア充に同情してもいいかもしれない。



「それなら鞭で叩かれたらリア充?」

「どこをどう解釈してもそうならなぇよ!それはイーナにしか当てはまらないからな!?」

「ちょっと待てお前ら。話逸れてる逸れてる」



おっと、また話が逸れてしまった。

本題に戻そう。



「ここにいるのは、俺、エルサ、オウマ、ニムル、キーン、イーナ、ジンク、レイル、リリィ、キュアさんでいいんだな?」



皆も頷く。俺も先程そう述べたから頷こうとした。

でも止めた。


あれ?なんか違和感あるな。目を覚ましたときはまだもう少し人がいたとおもうんだけど。


そう思い過去の記憶をひねくり出す。




=======



「てことは全員ここに押しやられたのか?」

「いや、ここにやられたのは一部だけだな。人数が足りない」



改めて周りを見渡して誰がいるのかを確認する。


俺、

エルサ、

シークス、

ニムル、

キーン、

イーナ、

リリィ、

ジンク、

レイル、

キュア、

他知らない人1名。


結構知り合いが多い気がしたが偶然だろう。



=======




………………………………………………知らない人1名?


俺は周りをよく注意して見回す。



「オウマ?いったいどうし………」

「シッ。静かに」



そうしてよく見て…………部屋の隅に誰かがいるのが確認できた。


声をかけてみる。



「え~と、あなたの名前は?」

「…………………………え?」



その人が驚いたような顔で俺を見る。

あ、女性だ。しかも美人だ。

でも盗賊はブサイクだったんだよなー。

あれはなんでか安心できた。

この人は見た目俺より年上かな?

なんか頼りになりそうな雰囲気だな。



「わ、私が見えるの?」



不安そうに彼女は言った。


頼りになりそうな雰囲気が台無しだ!

なんだ見えるの?って!幽霊かあんたは!



「あれ?もしかしてティアラさん?」

「あ!エルサちゃんやっと気づいてくれた!」



エルサと見知らぬ女性が声をかけあう。

まるで感動の再会だがここまで感動を呼ばない再会も珍しい。



「エルサの知り合いなのか?」

「うん。私が街に行ったときにいろいろと教えてもらったの。この人もハンターなの」

「ティアラです。よろしく」



へぇ~先輩みたいなものか。

それにしても、



「なんかすんません。今まで気づかなくて」

「いやいいのよ。どうせ私は…………」



俺が謝るとなぜか気を悪くし、隅のほうに固まる。

なんか地雷踏んだ?



「極端に言えばこの人は影が薄いのよ」

「極端に言い過ぎよ!そう、これは言うなれば」

「存在意義が低い」

「悪化してるぅ!」



おぉう、エルサの独壇場や。

なるほど影が薄いのか。……………なんかすんません。



「でもハンターなら戦力になっていいじゃないか」

「そう言うがシークス。頼りになると思うか?」

「………………すいません。フォローしきれません」

「うあぁん!今日初めて会った人に同情されたうえ見捨てられたぁ~~!」



俺の頭の中のお姉さん像がどんどんと崩れていく。

やっぱり見た目で判断するのはよくないよな………。

本物のお姉さんというのはなんというか



「まあエルサちゃんがお世話になったみたいで。ご迷惑をおかけしました」



こういう人だよなぁ。


キュアさんの大人の対応に感動する。



「いえいえ、こちらこそ。エルサちゃんにはいろいろと面白いことをやってもらいました」

「あら、エルサちゃんがお役に立てたのなら嬉しいです」

「ちょっと!私何も面白いことしてないから!そしてできればキュアさんも反論して!キュアさんが受け入れたら反論しづらいから!」



すげぇ………。キュアさん大人や…………。

あの冗談のセリフにもうまく対応しておる。

キュアさんの言動がもうお姉さんというより親御さんだよな。

保母様か。それとも女神様か。



「茶番はそれくらいにして話し合おう。1分でも早くこの状況をなんとかするべきだ」

「さすがジンクぅ。頼りになるぅ」

「いやジンクよ。言ってることは正論だが何気に酷いぞ。ティアラさんがマイナス思考に陥ってるじゃないか」



シークスの言葉にティアラさんのほうを見るとドヨ~~ンとした雰囲気を出していた。


メンタル弱っ………。



「まずこの縄ほどきたいな」

「よしエルサ出番だ。鬼神と恐れられるその力を見せてくれ」

「あんたの顔面で見せてあげようか?」



俺の顔面に足をめり込ませてくる。


いや、手が使えないからってこれはちょっと………!

普通に痛いんですけど!



「こういうことならイーナのほうが向いてそうだけど」

「なんで?」

「いや、拷問系とか全て網羅してそう」



シークスの言うことが冗談に聞こえないから恐ろしい。

確かにイーナなら可能じゃないだろうか。



「無理」

「あ、やっぱり無理か?」

「うん」



イーナがあっさりと白状する。

さすがに限度があったな。



「ほどくのは苦手。縛るのは大得意」

「聞かないぞ!なんでそんなに偏ってるのかは聞かないぞ!」



こいつ絶対Mっ気混じってるな…………!

結ぶとは言わずに縛ると言っているのが余計に怖い。


イーナの新たな趣味に戦慄していると服の裾を引っ張られる感触がする。



「あれ?ティアラさんどうしたんすか?」

「縄をほどけばいいの?」

「まぁ、そうなんすけど……て、ティアラさん縄は!?」



なぜかティアラさんの縄はほどかれ腕が自由になっていた。

まさか自力で縄を…………!



「盗賊が来ても私の存在に気づかないまま縛らずに去って行ったのよ…………」

「……………………………」



なんか……………哀れだ…………。

もはや影の薄さは超人の域に達していないか?



「さっすがティアラさん!なかなかの影の薄さっすね!どうせだったらそのまま盗賊やっちまえばよかったのに」

「シークスやめろ!気づかれなかったことによりティアラさんのメンタルはズタズタなんだ!ついでにお前のセリフでティアラさんのメンタルはドゴォーンになってるぞ!」

「それ崩れ落ちてるだろ」



あぁ、ティアラさんが再びマイナス思考に陥った………。



「というか随分とティアラさんの肩を持つんだな」

「いや、違うぞ?」



ジンクが不思議そうに聞いてきた。


別にそういうつもりじゃない。



「さっさとティアラさんに縄をぼといてもらわないと困るだろうが」

「「なるほど(シークス&ジンク)」」

「それトドメ!」



このあとティアラさんに縄をぼといてもらうのに時間を要した。


それにしてもよくこんなに騒いで見張りになんも文句言われないよな。盗賊はバカばっかりか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ