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24.女剣士

「ちぃ!スコイズンね!役に立たないわねシークス!」

「ホントに!あれほど身を呈してでもモンスターを引き付けておけと(心の中で)言ったのに!使えねぇなシークス!」



なんか遠くで「人のことボロクソ言ってんじゃねぇえ!」と聞こえた気がしたが気のせいだろう。

恐らくこいつはシークスが引き付け損ねた1体だ。


そういえばスコイズンってなんか聞き覚えがあるんだが………あぁあれか、ユルドさんが毒食らったってやつ。

………………………て毒ぅ!?



「ちょ、エルサ!こいつ毒を!」

「知ってるわよ!バ……オウマじゃあるまいし!」



バカと言いかけたことについては目を瞑ってやろう。

今はそれどころじゃないしな。


スコイズンの見た目はいわゆる蠍のそれだった。

大きさは蠍の割に犬よりも若干大きい体を持っていた。

蠍と違う部分は腕にはハサミではなく刃みたいなのが生えていること。

色は全体的に濃い青色で尻尾の先が少し膨らんでいる。

何をしてくるか、と警戒していたら尻尾の先から何かを吐き出してきた。

その目標は………俺ぇ!?



「危ない!」



ズバァ!


当たるかというところでエルサが抜いた剣が盾になってくれた。

それにしては反応早いな。

まだ相対してるときは剣抜いてなかったよな?



「あんた邪魔だから下がってなさい!ただでさえ役立たずなのにここにいられても迷惑!まだそこらへんにある蟻のほうが役に立つくらいよ!」

「膝をついて全力で泣いていいかなぁあ!?」



確かに役に立たないとは思うけど言い過ぎじゃないかなぁあ!?

もう俺の心はボロボロですよ!?

俺の真の敵はあんたか!


スコイズンがエルサに目標を変え、攻撃している間に俺も一応剣を抜きスコイズンを回り込む形で距離をとる。

この配置ならスコイズンが何をしようとしても咄嗟に避けることが可能なうえ、いざというときは不意をつくこともできると踏んだからだ。

だがその際に出入り口を背にしたのがマズかった。



「がぁ!?」



背中に何かが衝突する感覚がしたと思うと俺は倒れる。

何が起こったと思い後ろを振り向くとそこにはスコイズンが立っていた。


………っ!まさかの2体目!?


咄嗟に逃げ出そうと体を動かそうとするが上手く体が動かない。

動け、と体に命ずるが反応が鈍い。


毒か!?いや服に当たっただけで肌には当たらなかったはず……!


そんな俺に腕の一部が目に入る。

青色の液体がかかった腕が。


……っ!クソっまさか食らったときに腕にも当たったのかよ!?


動けない俺にスコイズンが近づいてくる。

必至に体を動かすが明らかに遅い。

どうやら腕の他にも当たった部位がいくつかあると思われる。

スコイズンがその腕に生えている刃を降り下ろした…………


だが次の瞬間その腕はスコイズンから消え失せていた。


な、なにが………?


そして俺の側に誰かが立つ気配。

そこには……………



「間に合った!」



エルサがいた。




――――――




「プハァ!死ぬかと思ったぁ」

「大げさよ。スコイズンの毒程度じゃ死なないって」



俺はエルサから受け取った《毒回復薬》を飲み干して一息つく。


だが正直に言って本気で死ぬかと思った。

もともと俺はただの高校生でこんなピンチに陥ったことは1回もない。


よくハンターはこんな中戦っていけるよな………。



「えっと………その………ご迷惑をおかけしました」

「謝るくらいなら早くダンジョンから抜けましょう。シークスと合流する必要もあるわ」



あっとそういえばシークスの存在忘れてたな。


爆池のある空洞を出てしばらく歩くとこちらに向かってきてる人影が見えた。



「おぉ、シークス生きてたか」

「てんめぇ~オウマ!よくも騙してくれたな!あんな体験したの初めてだったぞ!」

「騙してはないぞ。何も言ってないだけで」

「なお悪いわ!」



もちろんいつものごとくシークスの反論は無視する。



「あれ?オウマお前毒でも食らったのか?」

「よくわかったな」

「服に液体がべっとり付いてるからあとで入念に洗っとけよ」



シークスが俺の心配をしてくれた。


あ、ありえねぇ………………。



「で、目的の物は?」

「あぁ、無事回収完了だ」



俺は《爆魚》が入ったビンを掲げて見せる。



「本当に爆発しないんだな。これは驚いた」

「俺的には今爆発されたら困るんだけどな」

「普通だったらとっくに爆発してるわよ」

「あれ?シークスが持ってるその袋は?」

「大量にモンスターとエンカウントしたから折角なんで使えそうな部位を剥ぎ取っておいた」



そう言って袋の中身を見せてくる。

中を見ると大量の部位が入っていた。



「あれ?尻尾もある」

「その尻尾の膨らんだ部分は毒袋って言って毒が詰まってる部位だ。それを調合したりすると《毒回復薬》になったり《毒薬》になったりするわけ」

「ほぉ~~」



普通のRPGと同じように考えていいわけか。

いいね。もはやモン○ンだね。



「で、これで素材の確保はいいのね?」

「おー、ありがとな。それじゃシークスはお役ゴメンで」

「うおぉい!少しは報酬かなんかくれてもいいだろ!?」

「ちっ。しゃーねぇな。これをくれてやるよ」

「………………なにこれ?」

「【ソーフル】」



俺がシークスに渡したのは【ソーフル】。

【ブライム】を渡すよりはこっちのほうが好まれやすいかな?と思ったのだ。

理由のもう1つは【ブライム】を渡したら露店でレンタルしてもらえないから、というのが主な理由だが。



「いや、石鹸だよなこれ!」

「あんたなんで石鹸持ってきてんのよ………」

「この石鹸はいいぞ。便利だぞ」



後日、シークスとイーナから感想を貰ったところ一様に

『売ってくれ』

だそうだ。

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