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20.作成中

エルサの家に帰宅後、エルサがなぜか取り仕切る。



「まず《レッドアルム》についてだけど、さっき言ったとおりただの酒。高級なわけでもなければ入手しづらい物でもない。ごくごく普通の物よ」

「で、それをどうすれば《アルムオイル》と《華水》が手に入るんだ?」



俺が聞くとよろしいといった風をしてエルサが様々な器具をテーブルの上に置く。



「まずはこっちのボールに酒を投入」

「お、おう」



突然言われ戸惑うが言われたとおり投入する。

で、このあと何をしろと?



「それでこれも投入」

「……………………………なにそれ」

市販グルミール。いわゆる味噌」

「嘘つけぇ~~~!これのどこが味噌だぁ~~~!生々しい紫色してますけど!?」



エルサが味噌と言って取り出したのは生々しい紫色のした物体。

あれ絶対毒混ざってるって…………。



「いいからやりなさい。金が欲しくないの?」

「う、うい………」



《グルミール》を投入し、かき混ぜる。

するとなんということでしょう。あの紫色をした物が化学反応を起こし……………黄色へと変化した。



「お、おぉ………」

「これが《アルムオイル》よ」



驚いた。何にって、作り方に。

こんなもんなの?てか味噌と酒を混ぜてオイルってひどくない?

でもこれも異世界だから可能なのか…………?



「で、次に《華水》だけど…………そろそろかしら」

「へ?」



エルサがそう呟いた瞬間キッチンのほうに向かう。

そして持ってきたのは、ヤカンだった。



「《華水》は《レッドアルム》を沸騰させて20分置けば完成だから」

「え、えぇ~~~」



もはや自由すぎない!?

ちょっと強引すぎる気もする!



「これで素材は揃ったんだからさっさと作りましょ」

「ちなみに《華水》と《アルムオイル》って本来どんな用途で使われるんだ?」

「《アルムオイル》は調理用で《華水》は鍛治用」

「へぇ~~~ってちょっと待てぇ!」

「どうしたの?」

「それはつまり普通に販売してるっこと!?」

「まあそうだけどあんた金ないでしょ?」

「……………………ごもっともです」



クソォ…………。売ってるならそれを買ったほうが早いと思ったがそうもいかないな………。

資本が圧倒的に足りなさすぎる。俺も早く一人前の商人になりてぇなぁ。



「ま、《グルミール》は私が提供してあげるから頑張って」

「ういぃー」




――――――




「第2回合成検証会開始!」

「さっさとやりましょー」



まずは手始めに円を書いた内側に素材を並べる。



「最初は均等でいいよな」

「早く、早く」



エルサが急かすのをスルーして集中。


合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成早く合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成早く合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成合成


ってノォ~~~~~!

エルサが邪魔してくるぅ~~~~!



「エルサ静かに!」

「イエッサー!」



今度こそ集中する。

すると円の内側が光りだし素材を包み込む。

そして光が消えたあとに残った物は…………



「「………………………………石鹸?」」



石鹸だった。誰がどう言おうと完璧な石鹸だった。

…………ちょっと期待外れ感が凄まじいわぁ~~~。

てっきりすげぇ物でも出てくると思ってたのに~~~。



「よしっ。それじゃ使ってみますかね」

「おぉー頑張れー」



実験係はエルサ。良い報告を期待しよう。



「いや、あんたもよ」

「なんでえぇ~~~~!」

「自分の目で見たほうがいいでしょ?」

「他の検証させてくれぇ~~!」



他にもやることはあるんだぞ!?

素材の質量の配分とか!毎日の素材確保の方法とか!

それなのにこの女の実験に付き合えと!?



「いつまでもお前の言うとおりにすると思うなよ!」

「お?遅めの反抗期?」

「なめんなぁ~~~~!」




――――――




「よし、それじゃ開始ね」

「うぃーっす………………」



負けた。それはもうボキバキに。

ボロボロじゃないぞ?ボキバキだぞ。




「普通の石鹸の使い方でいいわよね?」

「いいんじゃないでしょーか……」

「ちょうど洗い物残ってるし、と」



エルサが服を手に取り洗濯をする。

この世界での洗濯はあの有名な桃の婆さんが川で洗濯に………というのと同じで川で洗濯をする。

洗濯機なんて物は存在しない。

こういうとき有り難みが感じられるなぁ。



「あれ?」

「おぉ………」



結果。


僅か1分で汚れもなくなり綺麗になった。



「これいい!すごくいい!」

「すげぇ………もはや石鹸じゃねぇ……………」



想像以上の出来に驚いた。

これでも素材の配分はまだ等配分だと言うのだからこれ以上凄くすることも可能だということ。

石鹸パネェッス…………。



「これより凄い物も作れるのよね?」

「え、はい。そうじゃないでしょーか」



うおぉ……う。エルサからどす黒いオーラが見える。

あれは欲に刈られてる目だ。間違いない。

己の欲望のためなら人を殺すことさえ厭わない目だ…………。



「今すぐ10秒で」

「でも素材が…………」

「5秒で素材集めなさい」

「無理じゃね!?」



計15秒でやれと!?無理に決まってるだろ!?



「オウマ、人間やろうと思えば限界を越えれるものよ」

「それは感情論ですよ!というか俺の限界じゃなくて《合成の書》の限界だから!」

「そんなの些細な壁でしかないわ!ぶっ壊しなさい!」

「そこは乗り越えろじゃないのか!?ぶっ壊すって勢い強すぎだろ!?」



それに《合成の書》ぶっ壊したら元も子もないから!



「いいからやれぇ~~~!」

「ひいぃ~~~~!悪魔ぁ~~~~!」




そのあと効果の高い石鹸も作らされ、結果丸1日かかってしまった。

結局露店を開くこともできず今日の売上は0。


も、もう嫌だ…………こんなの…………。



だがこの石鹸が後に国を動かすことを彼らは知らない。




ちなみに今日の出来事をガイジュさんに愚痴ったらどうやら同感のようでエルサには新たに『鬼神』という名が与えられた。

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