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11.合成術

3日後に本格的に経営に乗り出すつもりだからそれまでにやれることはやっておきたい。

エルサはというと……



「それじゃ私は出掛けてくるから留守番よろしくー」



てな感じで出掛けていきました。

どこに行くのかは知らんけど騒がしいのがいなくなって集中できる。


うし、やりますかね。




――――――




今回することは実験。

この前の検証会で合成が有能なことがわかった。

だから今度はそこから発展させていこうということだ。

エルサに殺されないためにも問題は起こさずに…………



「あ、ヤバい。《白石》が足りない」



問題発生。【ブライム】を作りすぎてしもうた。


やっべぇ!どうしよう!《光苔》は自力で採取できるからどうとでもなったけど《白石》はダンジョンの中だもんな!

よし。それならダンジョンに行こう。

すると突然殺気を感じる。


ゾクッ!



「まさかエルサか!?」



構えるが誰もいない。どうやら気のせいだったようだ。


…………………これはあれか。エルサは千里眼でもあるのか。これは下手に動けん。


というわけで完全に詰まった。

こんなことになるんだったらもっと採掘しておけばよかったぁと思う。


ガチャ


ドアが前触れもなく開く。



「おう、オウマ。今日はエルサいないって聞いたから来てみたんだが…………………………なにやってんの?」

「ここは越えてはならぬ国境だ。今すぐ立ち去れ!」

「家にバリケード作るバカは初めて見たわ!」



俺が机と椅子を並べてバリケードを作って構えていた。


あの女に俺の安全圏は越えさせねぇぞ!



「て、あれ?シークスじゃん、どした?」

「そこで何事もなかったようにバリケードを片付けるな!いったいお前に何があった!?いや、なんとなくわかるけども!」



家に侵入してきたのはシークスだった。


なーんだ。エルサかと思って咄嗟にバリケード作っちゃったじゃん。とんだ無駄骨だよ。



「お前はいつからバリケードを咄嗟に作れる男になったんだ…………」

「入ってくるなら入ってくるで声をかけろよ。明らかに不法侵入だったぞ」

「前に話も聞かずに追い出そうとしたのはどこの誰か覚えているか?」

「エルサ」

「堂々と嘘をつくな!エルサに責任転嫁しようとするな!お前しかいないだろう!?」



でもエルサもやりそうだけどな。入りたかったらスライディング土下座したあと1回回ってワンやれ、くらい言いそう。



「で、オウマはなにやってたんだ?」

「合成の実験」



シークスが《光苔》の山を見て尋ねてくる。



「合成って?」

「あ、エルサしかまだ知らないんだっけ。説明するのめんどくせぇ」

「本人の目の前でよく堂々とめんどくさがれるよなお前は!」



~~説明(^3^)/~~



「へぇ、そうやって【ブライム】をつくったのか」

「シークスにも渡したよな?使ってみてどうだった?」

「そうだな。ダンジョンに持って行ってみたが効率はよくなったな。不意打ちもされにくくなったし、なにより洞窟の中が見えやすくなった」

「それはそれは貴重なご意見ありがとうございます」

「ただ、戦うときは正直に言って邪魔になるなこれ」



そう言ってシークスがポーチから【ブライム】を取り出す。


やっぱそうなるか。


それは危惧していたことでもあった。

難点はその大きさ。手に持って少しはみ出すくらいのサイズで形は丸い。

そのため戦う際にはどうしても不便が生じるだろうとは思っていた。



「それは予想の範疇だな」

「【発光松明】も手に持って使う物だけど持ちやすさは【発光松明】のほうがいいかもしんねぇな」

「ぐぅ!」



【ブライム】を売り出す場合、その最低条件の1つになるのがすでにある物よりも優れていること。そうじゃないとどんなに売ろうと思っても売れるわけがない。



「そこをどうにかして改善したいんだが…………実験材料が………!」

「あ、そういえば《白石》足りてる?一応持ってきたんだけど」



シークスがそう言ってポーチから大量の《白石》を取り出す。



「……………………」

「おいオウマ、そんなに口を開けてたらアゴ外れるぞ」

「うおぉ!シークスお前はやっぱり俺の友達だよ!」

「うおぉ!?いきなり抱きつくな!」



思わずシークスに抱きつく。

シークス!お前はなんていいやつなんだ!俺はお前という友達を持って誇りに思うよ!



「あとキモい」

「サーセン」



そっと離れる。


ちょっと冷静さを失ってたな。気を付けよう。

ホモ扱いされてはたまらん。



「前に約束したからな。《白石》くらい労働の内にも入らんからいつでも持ってくるぞ」

「ありがたい!代金は出世払いで払うから!」

「《白石》で金とるやついないと思うけどな………。ま、期待せずに楽しみにしとくわ」



シークスから《白石》を受けとる。

よし、早速実験開始!




――――――




「さてと、どっから変化を加えるかな」



変化を加えるだけなら方法はいくらでもとれる。

が、そこから正解になかなか結びつかないから難しい。



「今まで素材を等配分で合成していたならどちらか増やせばいいんじゃねぇか?」

「まぁそれも1つの方法か」



説明書にも等配分ではなく適当で良いと書いてあったからな。可能性は高い。

とりあえず《光苔》のほうを増やしてみる。


円を書いた紙の上に《白石》と《光苔(多め)》を配置する。

よし、それではイメージしましょう。



「ハーゲハーゲこんなのやーだかーみのけー消え去っていく」

「なんで歌ってんの?」

「ん、気分」



何度も合成する内にいちいち集中するのはしんどいので歌って集中しやすくしている。


ちなみに選曲は『ハ○の歌』。

決して【ブライム】からハゲを連想したからではない。

一応これでも成功するんだからな。


歌って集中していると突然光り出す。


うおっ!?ハゲた!?………………違うよな。


そして出来上がったのは



「「目が目が目があぁぁ~~~!!!」」



二人して床をのたうち回る。


誰だぁ~!滅びの呪文を唱えたのはぁ~~!!



「眩しいぃ…………これも【ブライム】なのか?」



出来上がったのはとても眩しく発光する【ブライム】。

明らかに最初より光が強くなっている。

先程目をやられたのはいきなり強い光を直視したせいだ。



「……………なるほど。光苔を増やすと光が強くなるのか」

「冷静に述べるな!光苔の量が多すぎたんだろ!日常で使うのにこんなに光が強かったら逆に使いづらい!なんとかしろ!」

「え、えーと説明書説明書………」



※※※※※※



《合成の書》取り扱い説明書(附属)


追記

・壊したいときは滅びの呪文で壊せるよd(^-^)

(この本の持ち主以外がやったら…………どうなるだろうねぇ)



※※※※※※




「バ○ス!」



ドゴォ!



「うおぉ!?壊れたぁ!?」

「おぉ、やればやれるもんだな」

「お前の仕業か!?オウマなにやった!?」

「滅びの呪文を唱えた」

「わかるか!」



うまくいったから特に深くは突っ込まないがこの本……………余計よくわからん。なんでバ○スで壊さなきゃならんのか、てか説明書なのになぜ意味深に言うのだ!

あと顔文字腹立つ!



「とにかくこれで要領は掴めたな」

「だな。《光苔》で光が強くなるなら、今度は《白石》の量を調節すれば」



~~省略~~



「ハーゲハーゲこんなのやーだかーみのけ消え去っていく」


ピカッ


出来上がったのは………大きくなった【ブライム】。



「やっぱりか」

「なんで《白石》の量を増やした?さっきの要領なら増やしたら大きくなるくらいわかるだろ。こちとら大きいから困ってると言っているのだが」

「しょうがないな」



というわけで《白石》の量を減らしてもう一度



~~省略~~



「ハーゲハーゲこんなのやーだかーみのけ消え去っていく」



ピカッ



出来上がったのは小さくなった手頃な大きさの【ブライム】。



「よし、これでバッチリ」

「今思ったけど絶対歌いたかっただけだよなお前」

「気のせいだろ」



決してハ○の歌以外はどうでもいいとか思ってはいない。

ただ……………



「…………む」

「なんか考えごとでも?」

「まあな」



…………………………………。


この《合成の書》の作者『○ピュタ』知ってんの?



とてつもなくどうでもいいことを考えていました。

ちなみに作者はホモでもございません。

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