絵本風短編「ぼくは、だれ?」
やぁ。ぼくはネコだよ。
不思議なホシで、不思議な青年といるよ。
そこはとても小さなホシで、時々流星が降ってくるよ。
青年は体力が異常にあって、どこまででも走れるよ。
時々流星をパンチで砕こうとしたりして大けがを負うよ。
そんな時はぼくが介抱してあげる。
でもネコだからあまり役に立たないんだ。
ある時、流星が落ちた後に赤い服の女の子がいたよ。
青年と女の子はすぐに仲良しになった。
ぼくはちょっと寂しかったよ。
でも女の子はすぐに消えちゃったんだ。
青年が寂しそうにしてるから、ぼくも寂しかったよ。
あれから、流星は時々降るけど、ぼくたちはそれなりに楽しく暮らしてるよ。
でも……離れ離れになっちゃった。
✴︎✴︎
やぁ。ぼくはビーバーだよ。
不思議なシマに、女の子といるよ。
女の子はずっと一人だけど、強く生きているよ。
女の子は泳ぎがうまくて、何処までも潜れるよ。
シマ以外は全て海だけど、時々別のシマが現れたりするよ。
そこには大体ヒトがいて、彼女と遊んだり絡んだりするよ。
そういう時、ぼくはちょっと寂しいんだ。
でも、そういうヒトもシマも、長くはいないんだ。
だから彼女がまた一人になって寂しそうにしている時は、
ぼくが側にいるよ。
ある時、潜りに潜った女の子は、海の底で不思議な光を見たよ。
その時ぼくは一緒にいられなくて、後ですごく後悔したよ。
だからその後は、出来るだけ一緒にいようと思ったんだ。
でも……離れ離れになっちゃった。
✴︎✴︎
やぁ。ぼくはカワウソだよ。
不思議なマチで、強いヒトと一緒に暮らしているよ。
マチは不思議な境界に囲まれてて、誰も外には出られない。
ぼくは百年もここにいるけど、マチのヒトたちもそのくらい生きている
不思議なマチだよ。
強いヒトは強い両手と、よく見える左目を持ってる。
他のヒトも優しいけど、ぼくはやっぱり彼がいいよ。
時々環境が変わってよく死にそうになるけど、
ぼくたちはそれなりに楽しく生きているよ。
ある時、マチに鉄骨がたくさん降ってきたよ。
強いヒトは出来るだけ多くのヒトを救おうと頑張っていたけど
その時、左手を失ったよ。
それからは、女性がそばにいる。
ぼくは少し寂しいよ。
そして……離れ離れになっちゃった。
✴︎✴︎
あれ?それらはみんなぼくなの?
とても暗い空間で、今ぼくは小さくうごめいているよ。
今は何者でもない。
……ぼくは、だれ?
ふとそんなことを思って、ぼくはとても寂しくなったよ。
今はそばに誰もいない。
なんだか、とても寂しくなったよ。
✴︎✴︎
そんな時、ぼくは緑色の光を見たよ。
ぼくはそれをずっとまえに見たことがある。
それが、何かを教えてくれるような気がしたよ。
ずっと遠いところに、モヤモヤした何かがいる気がしたよ。
その中に、ぼくも吸い込まれていく。
ぎゅいーーーーん。
ーーーーーわぁ!
✴︎✴︎
そうか。
ぼくは、何かがわかった様な気がしたよ。
次は、何になるのかな?
✴︎✴︎
やぁ。ぼくは……
不思議な宇宙船の中にいるよ。
まだ誰もいないよ。
これから誰が、現れるのかな。
ぼくは、何になるのかな。
誰であってもーーーー
そばに、いるよ。
( おしまい )