少年、彼らを認める。
今回更に短めとなってしまいました。
すみません。
アグニスはケニー達の奮闘に胸が騒ついているのに気付いた。自分は毎日努力を欠かさずに過ごして来た。
その事に嘘偽りは無いし、毎日の鍛錬には結果も付いてきているのにも気付いていた。
アグニスは彼らの事を遊び呆けていると思っていた。
そんな考えをしていた自分が急に恥ずかしくなった。
今の戦闘を見て、彼らが遊び呆けていたなどそんな事はあり得ないのだ。
ベッグが毎日のように遊びに誘いに来る理由を考えた事があっただろうか。
ケニーは猟師のお父さんと一緒に狩りに出掛け、バッカスは毎日お菓子ばかり食べていて、口数も少なく、何を考えているか今一つ掴めないでいたのだが、きっと隠れて努力をしていたに違いない。
先の戦闘を見ればそれは明らかだ。
ロイはアグニスが未だ得るに至らない物を持っている。
――魔力と魔術だ。
アグニスは、剣が使えればそれでいい。
剣の腕を磨けば何とかなる、と今までは考えていたが、先程の戦いを見て考えが改まった。
(あの力が欲しい。――魔法が!)
アグニスは力に貪欲だ。
自分が抱く騎士に成るという夢に少しでも役に立ちそうな物は何が何でも欲しくなってしまう。
ケニーの弓と連携の心得もそうだし、バッカスの身のこなし方。ロイの魔法。そしてベッグのカリスマ。
それでもアグニスは焦らない。
アグニスは今出来る事の最善を尽くすのみ。
己の限界はまだ見えない。伸び代はまだまだあると父も言ってくれた。
「僕は、僕の出来る事をするだけだ」
努力は裏切らない。
父に言われ、実践してきた自分もその言葉が真実だと理解している。
(今の僕に出来る事、それは――)
「ベッグ、君の剣の腕を見込んで頼みがある」
先の戦闘で分析した父の予備動作の癖。
これを活かさない手は無い!
「お父さんは、構えている時、剣を振る動作を始める前に持ち手を握り直すんだ。剣が振られるのを予め予想出来るのなら、勝機は有る」
「流石だな、アグ。そいつは俺も気付かなかったぜ。実は俺もな、気付いた事があるんだ。それはな――」
作戦は決まった。
後は二人が全力を出し切り、父の隙を作る事が出来れば――勝機はある!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!