少年、謎の男と出会う。
迫り来る盗賊団の頭。
男の張り付ける表情にアグニスは今まで感じた事の無い得体の知れない何かを感じた。
背筋が凍るような、ねっとりとした気持ちの悪い感じだ。
男の周りにいる盗賊団の連中もその男の様子に嫌悪感を抱いているようだった。
(一体、こいつは何なんだ?)
尚も迫り来る男、あと数歩進めば、アグニスの体に触れる事が出来る距離まで来ていた。
「く、来るな!それ以上近付くな、お、お前、変だぞ!」
アグニスは珍しく狼狽えていた。
得体の知れない恐怖に曝されたアグニスは普段からは考えられない程に取り乱していた。
今の精神状態では、如何にアグニスといえど、魔法を放つのは無理だ。
手足は縛られ身動きも取れない。
そんな絶対絶命とも言える状況を救ったのはアグニス本人ではなく、
「止めておけ、グスタフ」
突如現れた覆面の男。
盗賊団の連中よりも小奇麗な服を身に付けており、森の中を歩くにしてはちぐはぐな格好だとアグニスは思った。
「あぁん? 何で止めんだよ、ガスト」
「私はお前の男色の趣味が嫌いでね。私の目の前でそういう胸糞悪い行為をされると、どうしようもなく腹が立つんだよ」
アグニスはそのガストと呼ばれた男の物言いを聞いて、遂に気付いた。
そして、自分がされそうになっていた行為は……。
「おう、そうかよ。ならお前の見えない所でなら良いんだな?」
グスタフという男色の趣味をもった男は諦めた様子もなくそう言った。
「お前は本当に馬鹿な奴だな、グスタフ。私が皆まで言わなきゃわからないのか? 別にお前の趣味を否定する気は無いさ。世界は広いからな。男を好きになる奴もいるだろう。しかし、お前のそれは違う。愛も無い。それに加え、対象が子供だと? お前がどうしてもするというのであれば、私はお前を――殺すぞ?」
言い終わるや否や、殺気を飛ばす。
グスタフに向けられたそれは、余波となってアグニスやエルフ達を襲う。
(こ、これが、殺気だというのか!?)
アグニスがグスタフに感じた嫌悪感は、ガストが放つ殺気を浴びて一瞬にして吹っ飛んだ。
「……ッチ。わーったよ」
「ふっ、それで良い」
アグニスは今の一連の流れだけで、自分ではガストと呼ばれる男には適わないと悟った。
その男は余りにも次元が違いすぎた。
アグニスが剣を求めて頭を下げてまで頼んだルーファスも及ばないかもしれない程の強者のそれ。
隙を見つけて反撃?詠唱を紡ぎ始めた、数秒後には殺されてしまう。
程なくして、再びガストが口を開いた。
「おい、そこのお前。赤髪の少年の縄を解いてやれ」
ガストの言葉にアグニスは耳を疑った。
(解け?解放?……いや、違う)
「私の『覇気』を浴びて恐慌状態に陥らないとは見所があるぞ、少年」
男の言葉でアグニスは初めて周りの状況に気付く。
エルフや子供達は皆揃って震えており、中には泡を吹いて気絶している者もいる。
男が言った『覇気』という言葉にアグニスは疑問を抱いていた。
(覇気……? 殺気とは別のモノなのか?)
思案が終わるよりも先に、縄を解かれたアグニスは、長らく締め付けられていた腕と脚を擦り、動くかどうか無事であるかを確認した。
アグニスがガストの方を見ると、男は笑っていた。
覆面で覆われた顔の僅かな開いた面積。
そこから覗かせる口は、グスタフの品の無い笑みとは違う『何か』を含んでいた。
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