少年、魔法を学ぶ。
アグニスはアルエルに追いつき、訓練所の門を潜った。
そこには既にロイがおり、詠唱の暗記に取り組んでいた。
二年経った今や、ロイの魔力総量は飛躍的に伸び、得意の魔力操作も相まって、魔法使いとしての素質は、アルエルも認める程であった。
『魔法使い』とは、己の魔力を操り、詠唱を用いて、世界の理を歪める事象を起こす者達の総称である。
呼び名は、その実力によって変化していくが、簡単な魔法を一つ使える程度であれば、一貫して『魔法使い』魔法と魔術、両方を有る程度扱えるようになると『魔導師』と、他にも『賢者』や『賢王』といった人間辞めましたというレベルの物まである。
魔法には属性という物があり、最も有名なのは、火、水、風、土といった大四属性。そして、光と闇属性の二つを合わせた6つから成り立つ。
属性同士の組み合わせ方や、術者の魔力操作によっては水を凍らせたり、風魔法で身体能力の底上げ等も出来、様々な場面で役に立つとされていた。
しかし、適正が無ければ魔法を扱う事は出来ない。
詠唱をするにも呪文言語を発音出来なければならないのだ。
全ての生き物はその体内に魔力を持つ。
しかし、それを操る為には呪文言語が必須であった。
適正を持たない者は、呪文言語を扱うことが出来ない為、発音すら適わない。
ベッグとケニーは適正が無い為、魔法使いにはなれない。
「 " あらぶる火よ、汝の願いを叶え、我が難敵を討て " 『ファイアーボール』」
放たれた火弾は、かなりの速さで、離れた位置に設置された的に当たった。
小規模な爆発が起き、それによる衝撃波が訓練所の全域に渡った。
ロイが放った、魔法『ファイアーボール』は詠唱が短縮されているのにも関わらず、短縮されていない物と変わらない威力を持つ。
そもそも詠唱とは術者が、イメージをしやすくする為に作られた物である。
アルエルがいうには、術者が起こそうとするその現象を完全に理解し、魔力操作に長けているという条件ではあるが、世界には『詠唱破棄』や『無詠唱』で魔法を発動させる者もいるらしく、ロイはその領域まで到達するかもしれないと嬉々として話していた。
ロイの魔法よりも威力は落ちるが、アグニスも詠唱を短縮するのには成功していた。
アルエルが来る前からアグニスはアグートに魔法を指南してもらっていたので、基本の詠唱は会得していた。何度か使っているうちにイメージが固まり、詠唱も短縮する事が出来るようになったのだ。
アグニスは短縮詠唱や、詠唱破棄、無詠唱などの有用性がどのような物か考える。
単純に魔法が使えるだけでもいざという時には役に立つ。
それに加えて『無詠唱』は厳しいにしても『詠唱破棄』が出来るようになれば、戦術の幅は飛躍的に広がるのでは無いか、と。
アルエルはロイの才能を買っていたが、それと同じ程にアグニスの資質をも見抜いていた。
資質だけでなく、努力をする姿勢には目を見張る物があり、それは最早、才能ともいえた。
常人を凌ぐ資質に加え、怠らない努力。
アルエルが考えているよりも、その才の片鱗は如実に現れていく。
設定がイマイチ……。
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