少年達、一夜報いる。
続けて二度目の戦闘描写です。
かっこよく書ければ良いな~、と思います。
日も暮れ始め、辺りはすっかり茜色に染まっていた。
先の戦闘を行なっていた三人はぐったりと座り込み、離れた所に立つ三人を真剣な面持ちで見守っていた。
彼らもアグニスと同じように、この戦闘を観戦し、得られる物は吸収しようと集中している。
「勝てるかな、ベッグとアグニス……」
ロイの呟きに、ケニーは答える。
「分からねぇ。でもあの二人ならもしかしたら一撃入れるなんて事も無いとは言えねぇ」
「……ベッグ、オラより、強い。……アグニスも……同じくらい強い。でも、アグート、さんはそれ以上に強い。……でも、でも、オラ、ベッグとアグニスが一緒に戦う所、見た事、無い」
三人共、結局の所分からない。
ただ、ベッグの強さは知っている。
そのベッグが認めている、アグニスの強さも。
――
「さて、始めるぞ。二人共……」
アグートは既に木刀を構えていた。
此方の人数が先の戦闘よりも少ないにも関わらず、ケニー達に態と見せていた僅かな隙も作らない。
「ちょっと、大人気無いんじゃないっすか?」
ベッグが苦笑いしながらそう呟く。
アグニスも全く同感だ、と内心思っていた。
「先手はそっちだ。掛かって来い」
アグートの戦闘開始を合図に、ベッグが地面を蹴り、駆け出した。
その速さは、バッカスが先ほどの戦闘で見せたよりも速い。
ケニーの俊敏さとバッカスの力強さを兼ね備えた加速を加えて放った会心の一撃はアグートに往なされてしまった。
尚も、アグートの構えは崩れない。
鍔迫り合いまで持って行ければチャンスが来るというのに、それは叶いそうに無かった。
(やっぱり厳しいか……)
父、アグートの防御力を崩す為には速さが効果的だ、とアグニスは考えた。
そしてアグニスもベッグと同じように地面を蹴って加速する。
アグニスのそれは、ベッグの加速の速度より僅かに速かった。
しかし、速さで攻め続けても、アグートはアグニスとベッグ二人掛かりの連撃をも往なし続ける。
(何て防御力なんだ。此処は一度体勢を立て直した方が良いな……)
何度目か分からない程に剣を振り続けたアグニスとベッグは、息を切らしながらも片方を一旦、戦線離脱させる為に視線で合図する。
アグニスが下がり、状況を確認する。
(良いぞ、どうやら、まだ気付かれていないみたいだ!)
アグートはアグニスのその僅かな表情の変化に違和感を覚えた。
(何を考えている……?)
ベッグの攻撃を弾き、一度距離を取るとアグートは思考する。
二人共、流石にスタミナ切れか。
とはいえ、アグートも少し息が切れ始めている。接近戦が本職では無い魔法使いにとって体力の消耗が激しい連戦は如何にアグートといえど厳しいというものであった。
(とにかく、そろそろ決めないと本当に危うい事になりかねない。……次にどちらかが切り込んで来た所を――叩く)
アグニスは気付いていた。
アグートの方も疲れ始めている頃合いだという事を。
そしてアグニスは、家でのアグートの言葉を思い出す。
『――もうすぐ日暮れだ。“日が落ちる前に済ませるぞ”母さんのご飯が冷めちまう前にな』
(もう半刻もしない内に日が暮れる。
そろそろ機がやって来るのは間違い無いんだ!!)
「ベッグ」
「……おう」
言葉は要らなかったかもしれない。
ベッグは相槌も終える前に駆け出していた。
アグートは、剣を“握り直し”ベッグの猛進に合わせるように一閃を放った。
「――っ」
猛進の勢いで突っ込んだベッグは、アグート返し技であるそれを受け止めた。
そして、そのまま鍔迫り合いに持っていく。
「今ダァァァァ!!!」
ベッグの雄叫びにも聞こえるその合図。
アグニスは駆け出した。この日一番の俊足だった。
しかし、アグートは鍔迫り合いから抜け出し、アグニスの剣を受けるべく迎撃の姿勢を作ろうとする。
(隙はベッグが作った。条件は揃った! 後は僕の剣技に掛かってる!)
思い出せ、思い出せ、思い出せ!!
毎日の修行を思い出せ!
アグニスの思考は急速に加速する。
朝起きてからの一日の過ごし方。
それは只々過ごしていくという単純な物では無い。
アグニスが行う所作には一つ一つ意味があった。
水の入った桶の運搬による、体重移動。
素振りによる、呼吸法。
薪割りによる、――見極め。
それらが全て合わさり、一つの剣技として、集約されていく。
鍛えられた筋肉が可能にする加速も合わさり生まれたのは、揺るぎない一閃。
それはアグートの剣を捉え、――両断した。
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