魔科学世界
閲覧ありがとうございます。
存在世界かつ未来という設定なので、説明が多々になることをご了承ください。
南半球の海の真ん中に位置する国――リボルガルド
楕円の形をしており、その国土面積は五〇万キロ平方メートル。
人口はおよそ二億七千万人。
少子高齢化により減っている人口の中、この国の人口は上昇傾向にあった。
リボルガルドでは魔術という概念が存在し、国が見つけられた当初は世界の人々がその興味から移住・観光ラッシュが始まった。
あまりの多さに規制が掛かったほどだ。
話は変わるが、現在魔術と科学が合わさった技術――魔科学が世界で活躍している。
それによって様々な技術が発展してきているが、未だに全てがそういかない。
理由は魔術が使える人の割合だ。
世界中どこにでも魔術を使える人間が現れるのかというと、そうではない。
リボルガルドの国限定、しかもその国全員が使えるわけではなく、二割程しかいない。
なので魔術を使える人材を出張させてまで獲得する世界の国々と比べ、自国で人材を呼び込めるリボルガルドでは、技術の差はそこそこ大きかったりする。
リボルガルドでは大きく五つの地方に分かれる。
北東のレギンヌ。
南東のサヴィタ。
北西のチェト。
南西のソーシャ。
そして一番大きく、四つの地方に挟まれる形で真ん中にあるイース。
五つの地方それぞれに一つ、魔術に携わる高等学園がある。
その学園こそ、この国の要と言っても過言ではない。
魔術の成長は一〇代に入った頃からで、半ばから最も成長が早いと言われる。
成長し始めの頃に魔術を教え込むと、あまりよくないクセが付いてしまうので国ではそれをよしとはしなかった。
なので中学二年生から基礎的なことを、高校では更に上を目指す教育方針が定められた。
特に高校では一番成長が見られることから、政府も力を入れている。
そして、とある少年が中学三年生になった頃、リボルガルド中を振り向かせるような魔術を使えることが判明した。
そんな国中を驚かせた少年は、リボルガルドの首都であるイース地方のアルタに住んでいた。
――イース地方アルタ
アルタはリボルガルドの中で一番人が集まる、いわゆる大都会だ。ちなみにこの国の首都でもある。
大都会ということもあってか、外は辺り一面通勤者で埋まっている。とは言っても仕事場の集まる町の中心部だけなのだが。
都市部から少し外れたとあるマンションの一室。
忙しい通勤者とは裏腹に、布団の中でぐっすり睡眠を営んでいる者がいる。
時刻は午前七時二九分。
しばらくして部屋にあったデジタル時計が三〇分に変わった瞬間、布団の中から一人の少年がゆっくりと起き上がった。
そして手元に浮かび上がったウィンドウを操作する仕草を見せた後、背伸びをしながら大きなあくびをする。
少年の名はリューイ・ビクトリア・レイ。
髪は少し青みを帯び、少し幼い顔立ちで人が良さそうな雰囲気である。
リューイは布団から出て、自室を後にするとキッチンへと向かう。
食パンを一枚取り出し、トースターにセット。
冷蔵庫のマーガリンを取り出したあと、またもや手元でウィンドウを操作する仕草を見せた。
――Intracerebral Virtual Computer
略してIVC。
文字のとおり、脳内仮想コンピュータである。
リボルガルドでは、赤ん坊として産まれた直後に魔術を施して脳内に特殊なチップを埋め込む。そのチップこそがIVCなのである。
チップは人間の感覚に支障のない程度に干渉し、様々な機能を使用することができる。
今リューイが何かを操作しているのもIVCを起動させているからなのだ。
ちなみに起床のアラームはIVCからリューイだけに知らせられるようになっており、現在開いているウィンドウには朝刊の内容が映し出されていた。
しばらくしてトーストが焼け、マーガリンをたっぷり塗り、朝刊を読みながらかぶりつく。
「男子高校生が三人の男に暴行を加えられた……か。世の中物騒だなぁ」
そんな独り言をボソボソつぶやきながら、朝支度を済ませる。
「忘れ物はっと……ないかな」
リューイは持ち物の確認を済ますと靴に履き替え、
「行ってきます」
と学園へと向かった。
閲覧ありがとうございました。
またいらしてください。