覚醒(ファンタジー的な意味で)
乙夜が魔法をバンバン使うようになりますよ。
2日目はいつもどおり7時半ほどに起きた。腕時計は特に問題なく使えるようだ。まあ、この世界が1日24時間なのかは知らないけど。
「よし、今日も勉強しながら迎えを待ちますか。」
3回ほど水塊を使って気付いたことがある。
「この水マジでウマい…」
水がもの凄く美味しかったのだ、日本とは比べ物にならないくらい。でも…
「なんか水の味にばらつきがあるんだよな…」
水の味にばらつきがある。それはどういう事なのだろうか?
それに…
「疲れ方にも違いがあるんだよな」
水の味と疲れ方、この2つに何か関係はあるのだろうか。
「使っている魔力の量が違うのかな?」
使う魔力の量で水の質が違うとは面白い。って事はだ…
「我が望むはこの世の乾きを癒す一掬いの水『水塊』」
試しにいつもは超真剣にやる呪文詠唱を気を抜きまくってやったら…
ゴクッ…
「いつもよりもマズイ。けど日本の水道水よりマシ」
という結果になった。それに…
「全然疲れてないな」
やはり水の質は使用する魔力の量によって違うようだ。しかしこうなってくると知りたい魔法が2つある。
「どれだけ真剣にやっても一定の魔力量しか消費しない魔法か、ステータスのようなものを測る魔法はないのかな?」
幸い魔導書は書庫のような場所に大量にあった。
「地道に探しますか」
そうして5時間ほどかけて約15冊の本を読み終わって次の本を読んでいたら驚きの事がそこには書いてあった。
「なになに?魔法を発動させるのに大切なのはイメージ、呪文はより早くイメージを完成させるためのもの。イメージが簡単に出来るようになったら使用魔法を口にするだけでよく、更には無詠唱でも魔法は発動される。ただし精霊術は無詠唱までは出来ない」
ほう、なるほどね。ん?って事はだ…
「なんじゃそりゃあァァ!?あの3時間はなんだったんだよ!!!」
そりゃ叫ぶわな。多分人生で1番のシャウトだったと思う。
「ふざけんじゃねぇよおおぉぉ!!!」
この後自分はひとしきり叫んだあと
「ハア、ハア…疲れた、喉乾いた。」
試しに魔法の名称だけ水をイメージしながら口に出してみた。
「『水塊』」
…出ましたよ。しっかり水が出てきましたよ。
「ホントになんだったんだよ、あの3時間…」
とりあえずあの本に書いてあった事を思い出してみる。
「魔法発動に大切なのはイメージ、呪文詠唱はあくまでもイメージの補助 って書いてあったよな」
そういう事なら、もしかしてだけど…
「特に勉強しなくてもイメージさえ出来ればどんな魔法でも発動するってこと?」
って事で自分は魔法を作ることにした。
「まずは名称からきめるか!」
意気揚々と魔法作成に乗り出したはいいけれど早速行き詰った。
「名称、名称ねぇ…」
名称を決めるのにとても悩んでいた。
「漢字は能力測定でいいんだがルビをどうしようかなぁ」
漢字は最初から決まっていたのだがルビをどうするかで悩んでいた。
「確か測定をそのまま英語にするとミアスレメントだったけ?でもそれじゃなんか変だよな。やっぱりステータスチェックにするか?うん、それでいい。ルビはステータスチェックで決まり!」
やっと名称が決まった。名称は『能力測定』に決まった。
名称が決まると次に決めるのは…
「次は呪文か」
そうイメージの補助をする呪文だ。
「能力測定だよな、それに合ってなるべく短く…」
これには大いに悩んだ。名称より悩んだ。
「うーん、我が望むは対象の情報の閲覧なり、我が意に沿って対象の情報を映し出せ、は長いな。は対象の情報の閲覧なり、我が意に沿って、は切り捨てて、我が望む対象の能力情報を映し出せ、でいいか」
呪文も決まった。だったらあとは使うだけだ。
「まずは自分を測ってみるか」
記念すべき第1回目の対象は自分自身にした。
「我が望む対象の能力情報を映し出せ『測定』」
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名前 岸本 乙夜
種族 人族
職業 学生
Lv 1
HP 98/100
MP 262/500
《称号》
異世界に迷いこんだ者・叫ぶ者・魔法の真理を知った者
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…なんだこれ?
「なんかMPだけ異常に高いし…」
どうやらチート能力はしっかり手に入れていたらしい。
MPが自分はどうやらめちゃくちゃ高いらしい。それはいいんだが…
「この異世界に迷いこんだ者ってのはなんだ?」
迷いこんだ者?って事は自分は勇者じゃない?勇者じゃないって事はお姫様も迎えにこない?
「うわー、何だよそれー!期待して損したわー」
他にも《称号》はあるが、叫ぶ者ってのは多分ずっと何かしら叫んでいるからだろう。魔法の真理を知った者ってのは何か分からない。
「これからどうしよう…」
勇者だと思ってずっと勉強してきたが勇者じゃないなら特に勉強する事もない。とりあえず食料はあるから旅にでも出てみるか?
「それが一番か…」
って事で旅に出ることにした。必要な荷物は…
「我が望む空間への扉を開けよ『無限収納空間』」
ゲームなどでよくある『無限収納空間』を魔法で作ってその中に次々に放り込んでいった。
「四次元○ケットみたいな物なのかな?」
無造作に入れてもぶつかったりしないという事は多分そういう事なのだろう。テントのような物はあらかじめ組み立ててからいれた。
「組み立てたり解体したり大変だからね」
そして行き先は
「我が探すものを映し出せ『探知』」
これまた魔法で探しだした建物を目指して行く。
「さて、行きますか」
こうして風の吹くまま、気の向くまま、自分の旅は始まったのであった。
ゲームの中にあったり、ナビがあったりしたせいでイメージするのが簡単だからですね、こんなに魔法を使えるのは。
1月22日
『測定』→『測定』