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一人百物語 2

ついでに

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


弟の幼なじみの、タカ君の話。

「タカの奴、一時様子がおかしかったんだよ。

ほら、こないだ取り壊された、心霊スポットって騒がれてたお化けホテル、あっただろ。あれが壊される前にってタカと何人かの奴が行ってみたんだって。

タカは妙なものが見えるから、お前何か見えたらみんなに教えろって。

あいつそんな事ばっかりやってるんだ。断ればいいのに。いつもロクな目に遭わないのに。バカだろ」

弟はタカ君の話になると、たいがい呆れた様に言う。

「で、行ってみたら他にも肝試しの奴らがいっぱい来てて、肝試しどころじゃない騒ぎになってたんだって。でもまぁあちこちブラブラ覗いて、何枚か写真も撮ったりしたって。

それからタカが家に帰って自分の部屋に入ったら……開けっ放しになってた押し入れの上の段に知らない女が膝をかかえて座ってるんだって。

そのあたりからタカの様子が何だか変になってさ。

みんなに会うたんび、俺の部屋にあの女がまだいる、ザンバラ頭のボロボロの黒い服のオバちゃんまだいるってばっかり言う様になって。

でぇ、目の下にクマが出来て、イッちゃってるみたいな目して、顔色が土気色になってんの。

だからみんなしてお前ヤバいよ、お祓い行け、病院行けって言ったんだ。

ほんでそれからしばらくしたら、タカの親戚で葬式があって、タカも親と一緒に葬式に行ったんだって。

それで葬式に出て坊さんのお経聞いてたら、タカの奴物凄く眠くなってきて……正座したまま横に倒れてぐーすかイビキかいて寝ちまったんだって。

周りの親戚がタカを起こそうとしたらしいんだけど、タカの奴、石みたいに重たくなって転がって目ぇ覚まさなかったって。

そしたらそれ見た坊さんがお経あげながら

<いいからいいから>

みたいな手振りしてうなづくから、そのまま端っこに寝かせたんだって。

で、お経が終わってしばらくしたら、坊さんがタカのとこに来て、何か言いながら手に持った平たい棒みたいなのでタカの頭や肩や背中をペンペン叩いたって。

そしたらパカッてタカの奴、目ぇ覚まして……でも自分がどうしてたのか全然覚えてなかったって。

それからタカの様子が元に戻ってさ。顔色も普通になって。

親戚の葬式で、自分に取り憑いてた女もついでに成仏したみたいだって。

『ラッキー!』

とか言って笑ってんの。バカだよ、ホント」


タカ君は私も子供の頃から知っており、町内で顔を会わせると笑顔で挨拶してくれる子で、今では結婚もして子供もいるが、弟や他の友達たちの話を聞くと

「よくも無事だったな」

と呆れる様な話がいくつかあり、本人もその時は酷い目に遭ったと思うらしいのだが……それに懲りずにまたバカな事をやってしまうらしい。


※タカ君は今も元気です



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