第8章 図書室の貸し出しカード
勘野は茶道で日々集中力を高めていたら、
天啓が降りるようになったという。
天啓・ひらめき・第六感・インスピレーション
これらはよく、これまでの知識や経験が
無意識のうちに結びついたものと言われる。
そして、ストレスがなく、健康な心身、
これらを基盤にさまざまな知識の習得。
偶然のように訪れるものだが、
その背景には日々の積み重ねや、心身を整える努力がある。
勘野は茶道での集中と、どん欲な好奇心。
これらが天啓の源なのかもしれない。
しかし、彼女はひょっとしたら……
図書委員の石井さんが何気なく
貸し出しカードをみていたら、
同じ名前がいくつかあるのに気づいた。
外川玲。
頻繁に借りてるんだなと思った。
気になって調べてみると、数年前から
この名前がある。
平坂ヶ峰高校はデジタル化されておらず、
今でも記入式だ。
数年前からだけではなく、よく見ると筆跡も違う。
一体どういうことだろうか。
この生徒は少なくても5年間は在校していることになる。
石井さんは、進藤さんに相談した。
そして4人が集まった。
話を聞くと「ふむ。いたずらだろう」と明智さん
見取さんは貸し出しカードを見せて欲しいという。
そこで6人で図書室へ向かった。
問題のカードをいくつか見せてもらうと、
「確かに筆跡は違います。書き出しの力の入れ方、
右利き左利きと、あきらかに複数の人物ですね」
と見取さんが言う。
そこへ「あのう」と漆黒の騎士
「漆黒の騎士さん、なにかわかったんですか」と進藤さん
「この本借りたいんですけど」
よくわかる魔術の本という本を持っている。
「あっではこちらに名前を」と石井さん
漆黒の騎士は、黒崎と書きホクホク顔である。
「漆黒の騎士さん、まじめにやって下さい」と進藤さん
「来ました!小説の主人公」と勘野さん
「小説の主人公がどうかしました?」と進藤さん
「なるほど、外川玲。その名が小説の主人公なのだろう」
と明智さん
進藤さんがスマホで調べるとヒットした。
外川玲。
引っ込み思案な読書好き。
様々な本を読んで、空想の世界に……
「これは!」と驚く進藤さん
「来ました!偽名」と勘野さん
「ふむ。本名を書きたくない引っ込み思案な人達が、
この名前を使ったということか」と明智さん
「でもみんな、この本の主人公の名前を使うなんて
あります?と進藤さん
「この本。本好きでは有名だから、ありえるかも。
私もこの名前に引っかかっていたんですが
思い出しました」と石井さん
これで真相は解明した。
「私も本を借りる時に、外川玲と書こうかな」
と明智さん
「ダメです。だれが借りたか分からないんで
やめて下さい」と石井さんが笑顔で言った。




