第1章 1話 平坂ヶ峰高校文化祭クイズ大会景品消失事件
遠くに山が見える街のなかに、平坂ヶ峰高校はある。
この平坂ヶ峰高校では6月に文化祭がおこなわれる。
校内は活気に満ち溢れ、
たくさんの生徒が行き来している。
校門では、各クラスが自分たちのクラスの出し物を
アピールしている。
メイド喫茶に、お化け屋敷、食べ物屋。
教室で自主制作した映画上映会もある。
男装・女装コンテストなんてのもある。
ダンスと演劇をやってるクラスが、ビラを配っている。
そして校庭では、
目玉であるクイズ大会がおこなわれていた。
「では、次の問題です!」
と司会の人がマイクを持って盛り上げている。
一般のお客も交えて、人だかりになっていた。
いくつかの問題が終わって、優勝者が決まった。
「では優勝者には、景品であるこちらの王冠を…
王冠がダンボールの王冠になっている!」
司会の進藤さんが他のスタッフに聞く。
景品で用意した王冠は、さっきまで確かに有ったと言う。
会場がざわめきだした。
司会の進藤さんは仕方なく「優勝者への景品が消えました」
と言って、辺りをみる。
当の優勝者は、がっくり肩を落としている。
敗れた準優勝者が、優勝者を慰めている。
進藤さんやスタッフもどうしたらいいか分からない。
そこへ1人の男がやって来た。
「この事件、私明智が解決してご覧にいれましょう」
「あなたがこの事件の解決を?」と進藤さんが言う。
「いかにも。私は事件を何百と見てきましたから」
「それはすごい。では犯人と景品は?」と進藤さん
「初歩的なことだよ、ワトスン君」
明智は世界一有名なベイカー街の探偵の名言を引用した。
「まずは、足跡を見てタバコの吸い殻を…」と地面を見る明智
「足跡大量にありますが、わかります?あと校内は禁煙です」
と進藤さんがいう。
そこへ
「私が事件を解決します」と女子生徒が。
「あなたは?」と進藤さんが聞く
「私は見取と言います。映画研究部に所属するもの。
周りの観察にかけては部内随一。どんな動きも見逃しません」
「では怪しい動きがあったのですね」
「いえ。今来たところなのでわかりません」
と言って、周りをみてメモ帳になにか書いている。
そこへ「来ました!」と言って別の女生徒がやってきた。
「あなたは?」
「私は勘野と言います。茶道で日々集中力を高めていたら、
天啓が降りるようになったのです。
ずばり犯人はこの校庭にいます!」
「校庭には100人以上いるんですが…」
進藤さんがツッコむ。
更に…
「ふあはっはっは。我がこの事件を解いてみせよう」
と黒い眼帯を着けて別の男がやってきた。
「で?」進藤さんも面倒くさくなってきた。
「漆黒の騎士と呼んでくれ。見える。負のオーラが」
「で、犯人は?」
「すでにここにはいないようだ。校内にいる生徒であろう」
進藤さんはため息をついた。
「うちの学校600人ちょっといるんですけどね。」
4人が4人勝手なことを言いながら、捜査を始めている。
進藤さんはスタッフに再度確認をとっていると、
「少し前まで王冠はそこにあったんですよね」
と明智が進藤さんに聞く。
「はい。クイズの開始前には確かにありました。
奥の机の上に置いてありましたから」
「ふむ。なのに忽然と消えた…」
「これは、完全犯罪ってやつですね」と進藤さん
「完全犯罪? おきのどくだが完全犯罪なんでものはないんだ、
それこそあなたの幻想ですよ」
と、くたびれた外見のロサンゼルス市警の刑事のセリフを引用。
「では一体」と進藤さんが問う
「犯人はクイズに集中している隙を狙った。王冠ぐらいの大きさなら、
簡単にバッグにしまえるでしょう」とドヤりながら明智が言う。
「たぶん…みんなそう思っていますが」と進藤さん
「来ました!」突然茶道部の勘野が言った
「犯人はあなたかあなたかあなた達です」と指を指していく。
指されたのは、進藤さん・優勝者・準優勝者・スタッフ2人と、
会場内にいたお客を4人ほど。
「私もですか。それだけ言えば、当たるかも知れませんね」
その時映画研究部の見取が地面を指して、
「宝石型の透明なプラスチックです」
会場は、初めて手がかりらしいものの発見にざわついた。
王冠に嵌めてあったのがとれたのであろう。
そして自称漆黒の騎士は、右手を抑えている。
「沈まれ。私の右手」
「来ました!王冠はここ、校庭にはなく、校舎にあるでしょう」
と勘野が言う。
これにはみんな、信じていいのかどうか判断がわからなかった。
「我もそう思う。闇のオーラが校舎から感じる」
と漆黒の騎士も同調する。
では、校舎に行ってみましょうか。
みんなでぞろぞろと、校舎に向かっていったのであった。




