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自由という物語  作者: セツナ(刹那)


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第四話 真実

東北に向かう高速道路を、無心で車を走らせる。


静寂。

ナビゲーションの終着点。


風、虫、鳥、

全てが静止している。


外界から切り離された建物。

無機質なコンクリート。


『国立種子保存センター』

青銅板に刻まれた施設名。


『許可なく立ち入った場合、処罰される可能性があります』


警備室に、警備員はいない。


職員用駐車場。

車を停める。

車は僕が乗ってきた1台だけ。


僕は、ハンドルから手を離せない。

このまま引き返すことも可能だ。

サトミとサトリのことを思い出す。


——前に進むしかない。僕はそう決めた。


運転席のドアは、やけに重たかった。


受付には、電話が一つ。

「御用の方は内線0番にお掛け下さい」

受話器を上げる。

何も聞こえない。


「職員用通用口」

カードリーダーが点滅している。


僕は迷いなく腕時計をかざした。

甲高い電子音。

解錠音。


——ここにあるのは、僕の「ログ」だ。


ドアノブに手をかける。


エレベーターにカードリーダー。

ボタン無し。

表示パネル無し。

ゆっくりと下降している。


静かに開くドア。


冷気が流れ込んでくる。


目の前の光景に、一瞬思考が止まる。

電子機器のビル群。

巨大な空間に広がる、無人の摩天楼。


電子機器特有の匂いが鼻をつく。

一歩踏み出すと、床のタイルが発光した。


行き先を案内するように、タイルが光っていく。


——『黄色いレンガの道を進むのですよ』

北の善い魔女は、ドロシーに言いました。


母に読み聞かせてもらった童話の一節が、脳内で再生される。

母の声をともなって。


腕時計の針が回る。


全ての針がⅫで止まる。


緑色に光る端末。


「観測対象=セツナ4199

ログを確認しますか?」


YES。


父親:2044年9月24日死亡(介入済)

社会的役割:農業予測

出力値:92.4%(固定)


それでも、

僕は、

努力したんだ。


「配偶者」の表示。

スクロールを止める。

指を動かせない。


画面の数字は、揺るがない。


僕は施設を出る。


車のエンジンをかける。

背もたれに身体を預ける。

フロントガラスの外は、動きの無い世界。


ラジオからはニュースが流れる。


《観測史上最大の干ばつ。収穫予測を大幅下方修正……》


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