巨城と狼だと狼の方が怖さだと勝る
また短い
首が痛くなるほど見上げないと1番上が見えないぐらいの大きさの、銀色の城の入り口に連れてこられた。入り口の扉は巨人でも入れるのか?というほど大きく、槍を持った人が5人いる。
「先程連絡したグクラスだ。」
俺の隣を歩いている鎧男が急に声を発した。こいつの名前はグクラスって言うのか。
その扉の前にいる5人のうち1番偉そうな人が腕時計みたいなのをつけた腕を、体の前に持ってきて、押した。すると、俺のトリセツみたいな画面が出てきた。30秒ほどその画面をいじっていたが、しばらくして画面を閉じ、手を下ろした。
「確認できました。お入りください。」
「ありがとう。さぁ行くぞ。」
そう言い、グクラスとかいうやつが前に進み始めた。それにしても本当にでかいなこの扉。
「この扉どれぐらいの高さなんですか?」
気になりすぎてつい言ってしまった。
すると、驚いた顔(見えてないけど)を一瞬したが、すぐにキリッとした顔(見えないけど)に戻し、「コホン!」と咳払いをして答えた。
「20mぐらいですよ。あと、なるべく声を出さないでください。ラルディア様がすぐそこにおられるので。」
「すいません。」
ビビった。この狼頭が無かったら俺のビビった顔が見られるところだった。まじでそういうのやめてくれんかな……。
中に入ると、長い廊下があり、その先にはさっきと同じぐらい大きな扉があった。「あの扉の奥にもしかして~様っていう人がいるんですか?」と口から溢れ出そうになったが、必死に抑えた。また同じように怒られるのは御免だ。
俺は前世でよく怒られていた。でもそれは、給料が発生する怒られだ。だが、この鎧男に怒られるのは無給だ。なのに下手したら命がなくなるかもしれないと言う状況で、言葉を発せる訳がない。
「「…………」」
「「……………………」」
気まずい時間が流れる。今日二度目だ。もう勘弁してくれよ。それなのに、この鎧男は歩く速度を上げようともしてくれない。
「なら別に腕を掴まれている訳ではないんだから、先に行けばいいじゃない。」そんな選択肢がよぎるはずがない。もしそんなことでもしたら……
考えるだけで背筋が凍りそうだ。
この時間が早く終わってくれ。そう願っていると、遂に扉の近くまで来た。
「この先にはラルディア様がお待ちだ。無礼のないように。」
そう小さな声で言われる。
驚いた。まさかこんなゴツイ鎧男がそんな小さな声でささやいてくるなど想像してすら無かった。もしかしてこいつ、鎧男ASMRでもできるんじゃないか?
「フフッ」
「どうした?扉を開けるぞ。」
今にも扉を開けそうな勢いで、扉に手をかざした鎧男が、再び小さな声で言ってくる。
なんで笑ったかって?自分で考えた鎧男ASMRが我ながら面白いことを思いついてしまったと気づいたからだよ。
狼頭の中で未だニヤつきが収まっていないまま扉が開かれる。
目の前には赤いカーペットが長く続いていた。その奥で周りよりも1m程高いところにあるでかい椅子に王冠を被り、ふわふわの服を着た、見るからな王様というような人が座っていた。そのカーペットの周りにはさっきの扉の前にいた人達と同じようなポーズで、同じような格好の人が30人は確実にいた。
「グクラスよ。」
奥にいる王様が声を出した。その瞬間周りにいた30人ほどの人達が一瞬にして凍りついた。そしてそれと同時ににグクラスは膝をつけて座った。
「よくやった。戻ってよいぞ。」
「ははっ」
グクラスはそう言うと、早歩きで来た道を戻るように帰っていった。
俺はこの部屋を見るのに一生懸命で、気づくのが遅くなったが、もう赤いカーペットに乗っているのは俺1人になっていた。
俺はどうしたらいいのだろう?と考えた結果、スッと滑らかに膝をつけて座った。
「ハッハッハッハ!」
王様みたいなやつが王様みたいな声を出した。
「どうかしましたか?」
俺は驚いたように聞く。というか普通に驚いた。こういうロールプレイはゲームの時から嫌いじゃない。だからこそ、これは今後の好感度としてしておくべきだろうと考えたのだ。なのに、爆笑されたら驚くしかない。もしかして俺、なんか失礼なことしたか?
「いやいや、そんなに身構えなくていい。」
「でもグクラスさんはやっていたじゃないですか。」
「あいつは自分の意思だ。そんなことをしろと言ったことはないし、しないといけない雰囲気がある訳でもない。ここにいるやつらも、俺のわがままじゃなくて、こいつらの意思でしている。」
はぁそんなアニメみたいな王様いるはずねぇだろと思いながら、言われた通り身構えるのをやめてまっすぐ立つ。
すると、その王様は椅子から立ち、下に降りた。
「申し遅れてすまない。私はラルディアと言う。このセクディアの王を務めている。」
そう言いながらラルディア王は俺の目の前に歩いてきた。
そして、そのまま俺の顔面と王様の顔面の間が、20cmになるぐらいまで近づいてきた。
「わぁー!びっくりしたー」
「すいません。近すぎましたね。」
そう言うとスッと離れていった。
この王様思っているよりも話しやすそうだ。
「ゴホン!茶番はここまでにして、今回の要件を言いたいんだがいいか?」
「はい。」
「今回其方にお願いしたいことは、次の町テリティームに行くまでの道に大量発生しているモンスターの討伐だ。依頼料は50万エレク、成功したらプラスで100万エレクだ。もし、失敗しても依頼料は回収しない。受けてくれるか?」




