狼は天然記念物じゃないから殺し放題
人狼剣を両手で持ち向かってくる狼達をなぎ倒す。
「ヒャッハー!なんだお前らか。ビビって損したわ。今の俺なら雑魚狼がどんなにいてもちょちょいのちょいよ!」
ナレーションの設定変えといて良かったな。もし変えてなかったらそこらじゅうでナレーションが大量発生していただろう。
狼をバッタバッタと斬り倒していくがなかなか死んでくれない。体力は高いし、積極的に戦ってくる。あのビビってた個体が特別だったのか?
「死ねや!ウジ虫ども!」
体力を削られながらも喰狼達を倒していく。
もしレベルが5じゃなかったら死んでいたかも知れないな。
戦い始めてから、2時間ほど経っただろうか。
あたり一帯の狼を倒し尽くし、残ったのは明らかにさっきまでの喰狼 と様子の違う3体だけになった。そして俺の残る体力はあと5。そんなとき──
《レベル2モンスター 狼王との遭遇!戦闘を開始します。》
レベル2!?見た目は喰狼の王みたいで人狼剣の進化バージョンみたいなやつを両手に持っている。
「ウ゛ァ゛ー!」
二刀流のような使い方で襲ってくる。
「クソッ!」
【俊敏体】を起動するが、この狼、強い。スピードでも力でも負けている。しかも3体がそれぞれ単独行動をしていて余計にやりずらい。襲ってきた狼を避けるために上にジャンプすると他の2体がそこを襲ってくる。ずっとこれの繰り返しだ。こんな戦いを始めてもう3時間は経つのではないかと思う。そろそろ人狼剣の耐久が心配だ。そもそも耐久値があるのか分かんないが。
体力はあと少し。もう次に攻撃を受けたら確実に死ぬ。
「そろそろ死ねや!このクソ狼!」
もうどうしようもないと思っていたそのとき──
「あっ」
暗黒の人狼頭の能力を思い出した。
今は月が出ている。どうせもう体力が1だろうが5だろうが次攻撃を喰らったら死ぬんだ。やるしかない!
暗黒の人狼頭の効果を発動。体力は1になる。そして、補正をかけるステータスは……
「おせぇぞ!ついてこいよ狼共!」
素早さだ!
力で勝てないならスピードで勝って相手の隙を攻撃すればいい。
木に飛び乗る。追いかけてきた狼を避けつつ、脚を攻撃する。そして、上から降ってきた次の狼を木から飛び降りつつ、バク宙で蹴り飛ばす。
「1体目ェー!」
ベチャンと木に引っかかった狼を見る間も無く、3体目の狼が下で待ち構えているのを見る。
インベントリから切り裂く剱を取り出して、狼に投げつける。インベントリというものを今まで自然に使っていたが、意識して使ったのは始めてだろう。
「重っ!?」
人狼剣を片手で持ったが、重すぎて肩が外れそうだった。
そんなことをしている間に地面に着地する。そして、串刺しにされている狼にとどめを刺す。切り裂く剱を引き抜き、インベントリに片づける。そして上から剣を投げつけてきた狼王の攻撃を避け、突き刺さった人狼剣の進化バージョンを入手する。
「喰らう狼王か……。
こりゃまた、相変わらず中学レベルの名前だっ…な!」
話している途中にも攻撃をしてくる狼に腹を立てつつ、人狼剣をインベントリに入れ、喰らう狼王を狼に向けて斬りつけるが、ベチンと弾き返される。
「ここだ!」
喰らう狼王を弾かれた勢いのまま手を離し、人狼剣を取り出して脇腹を斬る。
「キ゛ャ゛ァ゛ー!」
悲鳴を上げながら狼王は消滅していった。
「勝った……?」
終わったことに頭が追いつかない。
「勝ったのか……?」
そこでようやく理解が追いついた。
「シャ────!!!!」
喜びと同時に来るのはもちろんあれだ。
「ドロップアイテムはなんだろな〜」
そうして確認をする。つまりトリセツを開く。
[今回の戦闘の報酬
・暗黒の狼毛Lv.1 ×8
・人狼剣 ×3
・狼皮 ×10
・狼王皮 ×1]
「はぁ………。」
なんか違う。決して悪いわけではないがこんなに戦ったんだ。もう少し多くてもいいと思うんだよな。喰らう狼王だって戦いの途中に奪ったのしかないんだぞ。まぁもうドロップしたものは仕方ない。切り替えてアイテムの詳細を見る。
[・暗黒の狼毛 Lv.1
『暗黒の人狼頭』を進化させる欠片。これが10個集まることで『暗黒の人狼頭』に秘められた力を少し解放することができる。
・狼皮
喰狼の皮。喰狼の魂が込められており、これを使ってさまざまなのものを作ることができる。
・狼王皮
狼王の皮。狼王の魂が込められており、これを使ってものを作るのは狼王に認められた証である。]
「なんか使えそうで使えない奴ばっかだな!?」
まぁ仕方ない。次に確認するのはもちろんレベルだ。トリセツのステータス一覧を見る。
[プレイヤーレベル35]
上がりすぎだろ!?ステータスを見るとステータスも全部ハンパなく上がっている。
「なるほど。前レベルが5まで上がったのは喰狼が強いからか。」
まぁアイテムを貰っても使えなきゃ意味ないし、レベルが上がっても体力が1では何もできない。そのためにもまずは次の町に向かう……
日が明けてきた。朝日と共に頭の中で何かが浮かんできた。それは──
「学校始まるじゃねーかー!」
今何時かと時計を見る。しかし、時計はどこにもない。
「トリセツか?」
トリセツを見るとそこには5時47分。
6時には親が起こしに来る。
「戻らないと!これバレたらどうなんだろう」
確かに。と頭の中で思っているうちに5時48分に。
戻って急いでベッドに入るとすぐに親が来た。
「起きてー学校遅刻するわよ」
眠そうなふりをしながら起きる。
「別に今起きなくても間に合うのに」
「そんなこと言わない。準備は早めによ。」
「はーい」
小学生らしく生きるのも大変なんだぞ。と思いながらリビングへ向かう。
「おはよう玲哉。」
「おはよう」
声がした方を見ると、お父さんがいた。どうやらもう会社に行くらしい。靴を履き、バッグを持って家を出ようとしていた。
「お父さん、もう行くの?」
そう小学生らしく聞く。実際6時に家を出る社会人はいなくはないがここは東京。つまり出勤に時間はそこまでかからないはず。しかも、いつもは俺と同じ7時半に出ている。
「今日から出張でな。明後日には帰ってくるから。そうしたらどこか公園で遊ぼうな。」
「うん!」
元気よく返した。俺は独身だったからわからないが、少なくとも前世の俺の両親の100倍は優しい。いや、0に何かけても0だから、少なくとも前世の俺の両親を1とするならば、100は優しい。だろうか。
そんなことを思っている間にお父さんは出ていってしまった。
「じゃあ玲哉、朝ごはん食べようか」
「分かった」
お母さんにそう言われて返事をする。
インベントリはゲームのやつ。
目に見えない内容量制限ありのポケットです。
1日2本投稿したから今週はもう投稿しなくても許される……?




