構えし者、構えられし物
後書きが書いてて1番楽しかった
「まぁいいや、早速出しな。あと他にもあったら武器とか作ってやるよ。」
ニコニコした顔で嬉しそうにこっちを見て言ってくる。
「えっ………ありがとう……?いくらでしょう?」
「あっ、タダでやる。自己満だから」
「えっ………?」
まじで………?
これ詐欺だろと思い「まじ?」とミリヴィアに目線を送る。
「そういう人なんだよ、ゼルバートスは鍛冶オタクの変態だから。あっ、玲哉君とはタイプの違う変態ね。」
「うるせぇ。何回言ったらわかるんだよ。"俺は変態じゃない"って言ってるだろ」
「……………………ロムドも何か作ってもらう?」
「あっ、じゃあ槍作ってくれます?」
「おう任せとけ。大体の要望とステータスを書いた紙と材料をちょうだい。あっ、玲哉?君もね」
そう言い紙を渡された。
どうしようかなー、どの武器がいいんだ?
「なぁ、ロムドー何にすんの?」
「もう書き終わった。じゃあ、これでお願いします。」
そう言い、ゼルバートスに紙を渡した。
「俺は折りたたみ式の槍にした。いつも使ってるし、何よりかっこいい!ロマンって感じだぜ!」
「ロマンか…………」
確かにかっこいいのはモチベーションに繋がるだろうけど……………………
「玲哉は何にすんの?」
正直転生してから使いたい武器はある程度決めていた。
切り裂く剱は使いにくかったし、人狼剣もイマイチだった。つまり俺は片手剣も両手剣も合わないんだ。
前世でやってた【ソウル・オブ・チュリオン(通称:ソチン)】でとある武器が出てくるんだが、それがもうかっこよすぎて一時期現実で再現しようとしてたことがあるぐらいだ(その当時28歳)。
それは…………………………
「中指からビームを出せるグローブを片手にはめて、もう片方の手で長い片手剣を持つ」だ。
それをそのままそっくり紙に書き、ステータスなど諸々も書いて紙を出す。
「何これ?面白そうじゃん」
渡した紙を見たゼルバートスはニヤニヤしながら言ってきた。
「ちょっとやりたくて」
「ビームはできるか分かんないけど、やってみる。材料は?」
「わかんないからとりあえず全部!使えそうなやつ使って。意外といっぱい持ってるから」
「まぁ、なるべく要望通りにできるようにするわ」
「ミリヴィアはしなくていいのか?」
「僕はこの前やってもらったから大丈夫。どのくらいかかりそう?」
「槍とプリカースはすぐ終わるけどビームのほうが結構時間かかるかな。うーん………まぁ7時間ってところかな。」
「了解。それまでどうする?」
「俺材料全部渡してるから商店行っても意味ないんだよね」
「俺はちょっと消えます。」
あれ?俺もじゃね?今何時だ?
そう思い、プリカースを開くと
[現在拡張中。拡張が終わるまでしばらくお待ちください]
「俺今プリカース見れないんだけど、何時か分かる?」
「えっと……………11時54分ぐらい」
12時半からごはんか…………じゃあ戻ってゲームでもするか。
「ごめん俺も消えるわ」
「残るの僕一人だけ?じゃあ僕も消えます」
「「「それじゃあまた」」」
「カキン!カキン!カキン!ガン!ガン!ガン!……」
「ウハッ!ウハッハッハ!ウハッ!ヒョー!ウヒョ!たーのしー!」
1人残されたゼルバートスがひたすら笑顔で叩き続ける。
ベッドから起き上がり棚に手を入れる。
このゲームそろそろクリアしないとなー
そう思い、ラスボス戦直前で飽きた【RPG:闇と光の幻想曲(通称:不協和音)】を取り出す。
これ確かボスがクソみたいに強いクソゲーだって評価が多くて、ボス戦前で飽きてやめたんだよ。
ちょっと久しぶりにやるか。
このゲームはフルダイブ型VRである。
VRゴーグルをつけ、ベッドに寝っ転がる。
ログインするとでっかい城の本丸の前で目が覚めた。
「ズドンッ!!」
こけた……………………
原因はもちろんいつものだ。
現実とゲームの体の使い方が違いすぎて5分はこけつづける。
だがしかーし!今の俺は今までとは訳が違う。なんてったってテアレとかいうほぼゲームみたいな世界でそこそこ生活してきたんだ。そんな俺にかかれば立ち上がることなんて何も難しいことではない。
手を地面につき、足を踏ん張ってゆっくりと立つ。
風が吹き、砂埃が舞う。
ボス戦前であるため、周りにモンスターはおらず、大きい城にポツンと小さい人間が地面でもがいてる。
「イッテーッ!!!!!!」
誰もいない城に叫び声が響き渡る。
なぜか?それは───────
ゆっくりと手を離し、上体を起こしていく。
あとちょっと、あとちょっと、そんなとき、
足元にあった小石を踏んだ。足を捻り、頭からこける。
もちろんダメージも入り、体力は。あと1ミリほど。
フルダイブ型VRゲーム【RPG:闇と光の幻想曲】において、その世界のダメージは脳を通じてリアルな痛みに変換される。
つまりちゃんと頭をぶつければ、頭が痛くなるし、腕を切られたら、腕の感覚が完全になくなる。
このゲームはその感覚がリアルすぎて気持ち悪いんだ。
今の痛みをリアルで例えるなら頭から大量に血を流した上で、足の骨を折るという死んだも同然のものだ。
回復アイテムをすぐさま体にかきこみ、体を治す。
痛みは引いたが、体に力がうまく入らない。足がすくんでいるんだ。
とりあえず時間がもうちょっとしかないし、気合いでボス戦に行くか……………
再びゆっくりと立ち上がり、今度こそと、手を離す。
しっかりと一歩一歩地面を踏み込んで、少しずつ本丸に近づく。
中へ入るとムービーみたいなのに入って体が動かしにくくなった。
ある程度の動きはできるようだが、攻撃とかができない感じだろう。
とりあえず片手剣と盾を持ち構える。
すると、上からでかい肉の塊が降ってきた。肉というか変な色でドロドロしたみるからにヤバそうな物体だ。
そのグロさに圧倒されていると、目の前に文字が表示された。
[外部からのメッセージを受け取りました。
差出人:お母さん ご飯の準備できたよ!]
【RPG:闇と光の幻想曲】
──時は遡り約1000年前
1人の少女は本丸に向かって声が枯れるほどの声量で叫んだ。
「光より応えし白龍よ!我が希望を破壊し尽くす闇を封印せよ!」
白竜は本丸の中を体巻きつけ、白いモヤとなって消えた。
そのとき─────
城全体が大きく揺れ、白いモヤに包まれた。
空には久しぶりの太陽が見え、人々を悩ませたヘドロは消え去った。
人々には笑顔が戻り、平和が訪れた。
しかしそれは、かりそめの平和であった。
少女は魔王を打ち破ったのではない。
封印したのだ。
いずれ封印は解け、再び闇に覆われる時が来るのだ。
その時は真なる勇者が現れることを祈って




